ドラマティック・バレエの最高峰、 天才振付家ジョン・クランコの伝統を今に受け継ぐ名門、4年ぶり来日!
シュツットガルト・バレエ団
2012年日本公演
もう笑いが止まらない! 憂き世を救う、愛と至福の爆笑ドラマティック・バレエ!
「じゃじゃ馬馴らし」 The Taming of the Shrew
ウィリアム・シェイクスピア原作によるジョン・クランコ振付の全2幕のバレエ
音楽:ドメニコ・スカルラッティ 編曲:クルト・ハインツ・シュトルツェ 装置・衣裳:エリザベス・ダルトン
疾風のように登場し、拳を振り上げてわめきまくるヒロインのキャタリーナ。酒場で陽気に娼婦と戯れ、泥酔して身ぐるみはがされる求婚者のペトルーチオ。こんな前代未聞のバレエの主人公たちのパ・ド・ドゥはといえば…殴る、蹴る、転がる、はがいじめにする!? これぞ本作白眉の“調教パ・ド・ドゥ”!(いえ、冗談ではなく)。抱腹絶倒のバレエ「じゃじゃ馬馴らし」は、ロンドン時代にオペラやミュージカル、レビューの演出をも手掛けたジョン・クランコが、その多彩な演劇的手法を総動員して創作した最高傑作とも評されています。 物語の軸となるのは、キャタリーナとペトルーチオの夫婦の関係の変化。最初は女性が強情を張り、つぎは男性が女性の強気を挫き、最後に二人が互いを認め合うという三つの過程が、シェイクスピアの饒舌なセリフを多彩なアクションとコンビネーションに置き換えた見事なパ・ド・ドゥで表現されます。そしてペトルーチオの無頼漢ぶりから大混乱におちいる主人公たちの結婚式、妹ビアンカの恋模様と同時進行する賑やかなカーニバル、キャタリーナの神妙な貞女ぶりが周囲を動揺させるビアンカの結婚式まで、見事な演出術で運ぶ舞台は息をもつかせぬ面白さ。 強調されるのは笑いだけではありません。じゃじゃ馬キャタリーナは、じつは夫の真意をくみ取ることのできる知性ある女性。暴君に見えるペトルーチオも、豪放磊落でユーモアのある愛すべき人物として描かれ、最後には、ともに豪快なパワーをもつ男女が互いの魅力を見出して結ばれる大団円が訪れます。愛と笑いとアクション溢れる、こんな楽しい舞台は、ほかではちょっとお目にかかれません!
CAST
2012年 6月1日(金) 7:00p.m. キャタリーナ:スー・ジン・カン ペトルーチオ:フィリップ・バランキエヴィッチ
6月2日(土) 2:00p.m. キャタリーナ:アリシア・アマトリアン ペトルーチオ:アレクサンダー・ジョーンズ
6月2日(土) 6:30p.m. キャタリーナ:マリア・アイシュヴァルト ペトルーチオ:ジェイソン・レイリー
スー・ジン・カン Sue Jin Kang フィリップ・バランキエヴィッチ Filip Barankiewicz
アリシア・アマトリアン Alicia Amatriain アレクサンダー・ジョーンズ Alexander Jones
マリア・アイシュヴァルト Maria Eichwald ジェイソン・レイリー Jason Reilly
あらすじ
第1幕 第1場:バプティスタ家の外 うぬぼれの強いしゃれ男のホーテンショー、学生のルーセンショー、そして年取った道楽者のグレミオは、美しいビアンカにセレナーデを奏でている。その愛の歌は突然、ビアンカの姉のキャタリーナによってさえぎられる。キャタリーナとビアンカの父バプティスタは、求婚者たちに、ふたりの娘のうち、年長のキャタリーナの結婚が先であらねばならないと説明をする。この騒ぎで起こされた隣人たちは、邪魔された求婚者たちを追い払う。 第2場:居酒屋 貧しいが魅力的な紳士、ペトルーチオは、2人の娼婦に最後の金を巻き上げられてしまう。ホーテンショーとルーセンショー、グレミオは、ペトルーチオにキャタリーナの美しさと財産について語り、彼女に求婚するように勧める。ペトルーチオはそれを承諾する。 第3場:バプティスタ家の中 ビアンカは3人の求婚者に思いを巡らしていたが、ビアンカのことを腹黒い浮気者という、キャタリーナの嫉妬深い叫びによってさえぎられる。この争いは、歌、ダンス、音楽の教師に扮装し、ペトルーチオを同伴してきた、グレミオ、ルーセンショー、ホーテンショーの到着によって中断される。ペトルーチオはキャタリーナに少しも気に入られない。 ビアンカだけになると、扮装を解いた求婚者たちは、レッスンの形を取って求婚し続ける。ビアンカはすぐにルーセンショーが好ましいことに気づく。ペトルーチオの情熱的な求婚も、彼女を嘲るための嘘だと疑うキャタリーナに最初は受け入れられない。しかし、そうこうするうちに結婚を承諾することを納得する。 第4場:路上 キャタリーナの結婚式へ向かう隣人たちは、じゃじゃ馬のキャタリーナが夫を見つけることなどできるわけないと、これを冗談だと受けとめている。3人の求婚者たちも彼らに加わり、もうすぐビアンカを勝ち取れると、希望に燃えている。 第5場:バプティスタの家 招待客が到着する。キャタリーナは花嫁衣装に身を包んでいるが、花婿はこの日を忘れてしまっているのかのようだ。花婿のペトルーチオは、素晴らしい装いで現れると、不作法な振る舞いで、司祭をからかい、披露宴が始まる前に花嫁を連れ去ってしまう。
Alicia Amatriain , Rolando D'Alesio , Hyo-Jung Kang
第2幕 第1場:ペトルーチオの家への旅 彼の家への長い旅の後、ペトルーチオはキャタリーナのじゃじゃ馬馴らしを始め、火を消し、食べ物に難癖をつける。キャタリーナは寒くてひもじい夜を過ごす。 第2場:カーニバル カーニバルの最中、ホーテンショーとグレミオの前にビアンカそっくりのマスクと衣裳を付けた女性が現れる。彼女が愛する女性だと信じ、2人は結婚の誓いを急ぐ。彼らがだまされ、ルーセンショーによって、ビアンカに見せかけた娼婦と結婚させられたことに気づいた時にはすでに遅かった。
第3幕:再び、ペトルーチオの家 ペトルーチオがキャタリーナのじゃじゃ馬馴らしを再開したとき、彼女は反抗するのをやめ、夫に従うことにする。すると彼女は、想像していたよりも夫が優しく、機知にあふれていると気付く。
第4幕:ビアンカの結婚式への旅 ペトルーチオはまだ少し酔狂で気まぐれを楽しんでいるが、キャタリーナにはもはや気にならず、一緒にそれを楽しむ。
第5幕:ビアンカの結婚式 グレミオとホーテンショーは結婚の喜びは男女がたがいの幸せにあるのだと気づき、ルーセンショーさえもビアンカが見た目のような天使ではないのではと思わずにいられなくなっている。一方キャタリーナは、皆が驚いたことに、もっとも忠実で素直で愛すべき妻であることが明らかになる。これはつまり、女性が必ずしも見た目のようには限らないということで、言いかえれば、本を装丁で選んでは決していけないということなのである。
Maria Eichwald, Jason Reilly and Ensemble
photos:Stuttgart Ballet