オットー・ニコライ作曲「ウィンザーの陽気な女房たち」
序曲 森にやって来たファルスタッフは、出会ったウサギに召使いにならないかと持ちかける。“主従関係”が成立すると、早速ファルスタッフは、ウサギにフルート夫人とライヒ夫人宛ての手紙をタイプで打たせ、二人のもとへと届けさせる。
photo: Dimo Dimov / Volksoper
第1幕 お隣同士のフルート夫人とライヒ夫人は届いたラブレターがまったく同じ内容であることに憤慨する。送り主であるファルスタッフを懲らしめてやろうと決めるが、この際、嫉妬深い旦那フルート氏も一緒に懲らしめてやろうということに。二人が下着姿なのは、それだけ気心が知れた仲ということか? 娘のアンナを金持ちのシューペルリヒと結婚させようとしているライヒ氏。ライヒ氏の娘アンナと相思相愛のフェントンは、ライヒ氏に結婚の許しを求めるが、ライヒ氏は結婚の条件はお金、貧乏青年はダメ!と大反対。フェントンは愛こそが最大と言い返す。 フルート夫人が、ことの成り行きを想像しながら喜々として「男どもをやっつけるなら、どんな手段も悪くない」と、コロラトゥーラが駆使された聴きものアリアを歌い終わると、場違いなほどのオーバーなマーチとともに、めかしこんだファルスタッフが訪れる。 「フルート氏が帰ってくる!」と叫ぶライヒ夫人の声にあわてるファルスタッフを洗濯籠に押し込むフルート夫人とライヒ夫人。籠を召使に川に捨てさせるのは計画通りだ。 妻の浮気を疑って街中の人を連れてなだれ込んだフルート氏だったが、家探ししても何も見つけられず、フルート夫人が身に覚えのないことを疑われたと大げさに嘆くので謝罪するはめに。フルート夫人、してやったりである。
第2幕 ファルスタッフの寝ぐらである“ガーター亭”は、このプロダクションではフォルクスワーゲンのミニバスだ。ファルスタッフは、森に停めたミニバスで、前日の不快な出来事を忘れようと酒を飲んでいるが、再びフルート夫人からの手紙が届くいなや上機嫌に。さらに「赤ん坊のころから」と酒豪ぶりを歌う。この陽気な酒の歌は2オクターヴの音域をもつファルスタッフの聴かせどころの一つ。 アンナとフェントンの逢引の場面。なんとフェントンは戦闘機で上空から降りながら「聴け、雲雀が森で歌う」と、甘い愛の歌を歌う。続く二人の二重唱も聴きどころ。
第3幕 フルート氏は、自分の依頼による、妻とファルスタッフの逢引の現場に踏み込んだはずだったが、今度もまた、夫人の機転によって現場を押さえることはできない。そして、夫人がことの顛末を明らかにするので、みんなで仮装大会を使ってファルスタッフを徹底的にこらしめようと相談が始まる。ライヒ夫人が歌うのは「狩人ハーンの物語」。ファルスタッフに大きな鹿の角をつけたハーンに変装させてこさせ、みんなは妖精に変装して彼をこらしめようというのだ。 みんなにボコボコにされたファルスタッフは、最後に種明かしをされて謝り、全員で大団円のフィナーレとなる。バレエや合唱が大活躍の仮装大会の場面は楽しい観どころにほかならないが、このプロダクションではさらに、最後に驚くべき出来事が…。