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![『トスカ』STORYと聴きどころ](images/to-04_01.jpg)
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ジャコモ・プッチーニ作曲『トスカ』(全3幕)
【上演時間3時間10分(休憩2回含む)】
指揮:ズービン・メータ 演出:マリオ・ポンティッジャ 美術・衣裳:フランチェスコ・ジート
STORYと聴きどころ
第1幕 1800年6月。ローマ、聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会。
だれもいない教会に脱獄してきた政治犯アンジェロッティが駆け込んでくる。妹が逃亡を助けるために用意した鍵を探し出し、礼拝堂に隠れる。堂守が画家カヴァラドッシに洗ってきた絵筆をもって来る。カヴァラドッシが絵の続きにとりかかると、堂守はそこに描かれているマグダラのマリアが、この教会に祈りに来ている女性に似ていることに気づく。この女性はアンジェロッティの妹で、カヴァラドッシは彼女をモデルに絵を描いていたのだ。しかし彼の恋人は人気歌手のトスカ。描いている絵と恋人トスカとが似ていることにあらためて気づいたカヴァラドッシは、トスカへの深い愛情を歌う(「妙なる調和」)。 カヴァラドッシが再び仕事にかかろうとすると、隠れていたアンジェロッティが姿を現わす。互いに驚く二人は志を同じにもつ同士だ。再会を喜んだそのとき、「マーリオ!」とトスカの声。アンジェロッティは再び礼拝堂に隠れ、カヴァラドッシはトスカを迎え入れる。トスカは、今夜の演奏会が終わったら二人で郊外の別荘へ行って過ごそうと誘いに来たのだが、彼が描いている絵の女性に嫉妬心を燃やす。そんなトスカを、カヴァラドッシは情熱的なささやきでなだめる(「私たちの可愛い家に行きたくないの?」〜「この世に君の黒い瞳ほど」)。 ようやく落ち着いたトスカが去った後、カヴァラドッシはアンジェロッティに自分の別荘の古井戸に隠れるように言う。ちょうどそのとき、囚人の脱走を知らせる大砲の音が聞こえ、二人はあわてて出ていく。 入れ違いに堂守が。ローマの軍隊がナポレオン軍を破ったと駆け込んで来て、聖歌隊の子どもたちとにぎやかにはしゃぐ。そこに突然、脱獄犯を追う警視総監スカルピアが部下を連れて入ってきた。アンジェロッティが隠れていた礼拝堂から女性ものの扇が見つかり、マリア像を描いているのがカヴァラドッシと知ったスカルピアは計略をめぐらす。そこに折悪くトスカが戻って来る。スカルピアは以前からトスカに目をつけており、脱獄囚の行方を捉えると同時にトスカを自分のものにしようとトスカの嫉妬心を煽る。スカルピアの思惑通り、逆上して出ていくトスカをスカルピアは部下に追わせる(「行け、トスカ」)。教会では、礼拝の準備が整い、人々が集まって枢機卿の行列が始まる。荘厳な「テ・デウム」の合唱が響くなか、スカルピアだけが邪悪さを表わす。
第2幕 同じ日の夜。ファルネーゼ宮殿内のスカルピアの執務室。
広間から戦勝を祝うカンタータが始まり、トスカの声も聞こえる。スカルピアは一人夕食をとりながら、演奏の後で来るよう、トスカを呼びにやる。なおもよこしまな考えをめぐらすスカルピアのもとに、カヴァラドッシが連れて来られる。スカルピアはカヴァラドッシからアンジェロッティの行方を聞き出そうとするが、白状する気配はまったくない。トスカが現れたところで、スカルピアはカヴァラドッシを隣室で拷問にかけるよう命じる。苦痛に耐えるカヴァラドッシの悲痛な叫び声を耳にしたトスカは、たまらず、「古井戸の中」と言葉を漏らす。 拷問で痛めつけられたカヴァラドッシが運ばれて来るが、トスカが口を割ったことを知って激怒する。ちょうどその時、先に報じられたローマ軍の勝利は誤報だったと知らせが入る。実際にはスカルピアの属する王党派は負けていたのだ。「勝利だ!」と叫ぶカヴァラドッシに激怒したスカルピアは彼を投獄するように命じる。 連れ去られる恋人を追おうとしたトスカを止めるスカルピアは、いよいよ情慾あらわにトスカに迫る。恋人を助けたければ身体を差し出せ、と。絶望したトスカは、神への嘆きを歌う(「歌に生き、恋に生き」)このアリアは、全曲中最大の聴きどころ。静かな歌い出しに始まるこの曲は、美しい旋律であるとともに緊張感をもった深い表現力が聴く者を引き込む。 スポレッタがアンジェロッティの自殺を報告する。もはやスカルピアの言いなりになるしかないとトスカは決意。スカルピアは見せかけの処刑をほのめかし、トスカの求めに応じて通行証も書く。いよいよ迫られたそのとき、トスカは食卓にあったナイフで刺す。息絶えたスカルピアから通行証をもぎとったトスカは、さらに燭台と十字架を置き、静かに部屋を出る。
第3幕 翌日の夜明け近く。聖アンジェロ城の屋上。
処刑を前に、連れて来られたカヴァラドッシは、看守に指輪を渡し、これから書く手紙を愛する人に渡してほしいと頼む。トスカとの愛の日々を思い、この世への惜別を歌う(「星は光りぬ」)。そこに、トスカがやって来て、これから行われる処刑はまねごとなのだと、ことのいきさつを告げる。トスカは物陰に隠れ、銃声を聞く。銃殺隊が去るのを待ちかねて、倒れたカヴァラドッシのもとへ近寄ると、彼は既に死んでいる。悲鳴をあげるトスカに、スカルピア殺害を知った衛兵たちが迫ってくる。トスカは、城壁から身をひるがえし、恋人のあとを追う。