プロローグ付全3幕 アレクサンドル・デュマ・フィスの小説に基づく

「椿姫」

振付:ジョン・ノイマイヤー
音楽:フレデリック・ショパン
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ

photos: Roman Novitzky / Stuttgart Ballet

本家シュツットガルト・バレエ団が本邦初披露!
切ない恋模様が胸を締めつける

 19世紀の華やかなパリを舞台に、高級娼婦マルグリットと青年アルマンの悲恋を描く「椿姫」。アレクサンドル・ デュマ・フィスが24歳で書いたこの青春小説を題材にしたバレエ「椿姫」は、ヴェルディ作の同名オペラを超えたとも 称される究極のドラマティック・バレエです。

 振付・演出を手掛けたのは鬼才ジョン・ノイマイヤー。彼は原作の小説に立ち返り、主人公たちの恋の行方を追うだけでなく、その関係や心理の変化をダンスによって克明に描き出しました。原作と同時代のパリを生きたショパンの音楽が時代の香りを漂わせ主人公たちの心情に溶け合いながら、物語を雄弁に語りかけてくるのです。特筆すべきは各幕に配された、高度な技術と表現力を要するマルグリットとアルマンのパ・ド・ドゥ。第1幕は愛の芽生え、第2幕は白昼夢のような束の間の幸福な浮遊感に満たされ、第3幕は壮絶なほどの憎悪を燃やすことで絆を確かめる恋人たちの葛藤が描かれます。とくに〈バラード第1番〉にのせた慟哭が聞こえてくるような第3幕の通称“黒のアダージョ”は、ガラ公演でもたびたび演じられる名ピース。また劇中劇「マノン」がマルグリットの心の鏡となり、恋人たちの運命の前兆として作品全体に通されているのもノイマイヤーの冴えわたる仕掛けです。

 本作は20世紀を代表する女優バレリーナであり、当時シュツットガルト・バレエ団の芸術監督だったマリシア・ハイデのために創作され、同団で初演された作品。過去パリ・オペラ座バレエ団やハンブルク・バレエ団が日本公演で披露し強い印象を残しましたが、本家のシュツットガルト・バレエ団による舞台は、さらに重厚な胸締め付ける物語として、格別なものになることは間違いありません。甘く切ない名作の世界にぜひ酔いしれてください!

photo: Kiran West

ジョン・ノイマイヤー (1939 〜)John Neumeier

コペンハーゲン、ロンドンの英国ロイヤル・バレエ学校でバレエを学び、1963年にシュツットガルト・バレエ団に入団。ソリストとして活躍するとともに、振付を手がけた。1969年フランクフルト・バレエ団芸術監督に就任し『くるみ割り人形』、『ロミオとジュリエット』などを発表、センセーションを巻き起こす。1973年、ハンブルク・バレエ団芸術監督、振付家に就任し、同団をドイツ随一のカンパニーにまで成長させ国際的な評価を獲得した。振付家としては、現代的でドラマティックな作品を追求するいっぽうでバレエの伝統を守り続け、物語バレエの新たなヴァージョンとともに、シンフォニック・バレエ、とくにグスタフ・マーラーの音楽や宗教曲にいたるまで幅広く手がけている。

パリの劇場で青年アルマンは思いを寄せる高級娼婦マルグリットに紹介される。上演されるバレエ「マノン」の登場人物に二人は自分の姿を重ねてみていた。その夜自宅に招かれたアルマンは、発作に苦しむ彼女を介抱し、愛を告白。マルグリットはパトロンである侯爵の庇護を捨て、アルマンとの慎ましくも幸福な生活を選ぶ。しかしある日、アルマンの父から息子と別れてほしいと頼まれ、自らを犠牲にし元の娼婦の生活に戻っていった。裏切られたと信じこみ、あてつけに別の娼婦と付き合うアルマン。すでに不治の病に侵されるマルグリットはアルマンにこれ以上自分を傷つけないでほしいと懇願するが...。

photos: Roman Novitzky/Stuttgart Ballet

NBSチケットセンター 
(月-金 10:00~16:00 土日祝・休)

03-3791-8888

東京バレエ団  子どものためのバレエ 「ねむれる森の美女」
  • 2024/8 会場:めぐろパーシモンホール 大ホール