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2017/03/06 2017:03:06:22:10:59

【パリ・オペラ座バレエ団】レオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェに聞く  

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ジェルマン・ルーヴェとレオノール・ボラック 「くるみ割り人形」2014年 photo: Sebastien Mathe


大空に舞う新エトワールふたり

レオノール・ボラックとジェルマン・ルーヴェに聞く
2017年2月

インタビュアー: アリエノール・ド・フーコー


昨年12月23日と31日、両日の「白鳥の湖」終演後、ジェルマン・ルーヴェとレオノール・ボラックがエトワールに任命されました。努力や継続してきたことなど、二人にこれまでの人生を振り返ってもらい、いまの彼らの思いを語ってもらいました。


■ どのようないきさつで踊り始めたのですか?


ジェルマン・ルーヴェ(以下G.L.): 4歳で踊りはじめた時から、ダンスは僕にとってとても自然で、本能的に感じられました。7歳でシャロン=シュル=ソーヌ国立地方音楽院に入学しクラシック・バレエを学び、12歳でパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、エリザベット・プラテルに師事しました。コール・ド・バレエに入団したのは18歳でした。


レオノール・ボラック(以下L.B.): パリのコンセルヴァトワールで2年間学んだ後に、15歳でパリ・オペラ座バレエ学校に合格し、18歳でコール・ド・バレエに入団しました。


■ エトワールという役割について、どう感じていますか?


G.L. とL.B.: それは、自分がダンサーのキャリアの中でどこに位置しているかによると思います。例えば、私たちが子どものときには、エトワールはほとんど神に見えましたし、彼らのことを知るようになると、今度は彼らに追いつこうとします。少しずつ自分たちの階段を上るにつれ、エトワールを取り巻いていた幻想が、だんだんと現実的になり、手に届くもののように見えてきます。そしていざ現実になると、エトワールになるということは、他のダンサーと同じことで、ただ新たな責任が加わるのだと分かります。つまり、全てがつながっているのです。


■ そうやってバレエ団の命も引き継がれていくのですね。
ジークフリート王子とオデット/オディール役を踊られましたが、お二人はそれぞれの役をどのように感じましたか?


L.B.: 私たちは二人ともクロティルド・ヴェイエ(パリ・オペラ座バレエ団 バレエ・ミストレス)に指導してもらいました。正式に配役されるまでは代役の予定での練習だったのですが、自分が本番を踊るかのような気持ちで練習するように心がけました。最初の数回のリハーサルでは少し不安もありました。というのも、以前踊ったジュリエットの役が、より直観的で分かり易いのに比べ(2016年にヌレエフ版「ロミオとジュリエット」を踊っている)、オデット/オディールはジュリエットほど明快ではないと感じました。技術的に重要な練習も必要でしたが、そのコーチングはとても役に立ち、私自身向上することができました。
 
まだ、すべてを完璧に踊りこなせているとは言えませんが、それでも今は、踊りきったことを誇りに思っています。ジュリエット役を幼いころからずっと観続けてきて、役柄を完璧に理解できているのに比べて、白鳥の役は入り込むのに時間がかかりました。沢山のダンサーがこの役を踊るのを観てきているからこそ、舞台に上がるには、より大きな自信が必要です。そのような中で、私たちはそれぞれ基礎的な個人練習を積み重ね、また、パートナーや先生方との信頼を築いていきます。


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「白鳥の湖」2016年 photo: Svetlana Loboff / OnP


G.L.: ジークフリート王子を踊るのは不安でしたが、これまでずっと踊りたいと夢見てきた役でした。クラシック・バレエ作品の中でもとりわけ神秘的で、技術的に非常に難しい役ですが、やりがいのある挑戦でもあります。僕にとっては比較的自然で、リハーサルの最初の頃から、気持ちよく踊れました。僕たち二人とも、昔のコンクールなどで、ヴァリアシオンを少しは踊ったことはあったと思うけれど。


■ 新芸術監督オレリー・デュポンにエトワールに任命されたことには、何か特別な意味を感じますか?


G.L. とL.B.: オレリー・デュポンとは何か共通の運命で私たちは繋がっているように感じます。というのも、私たち二人が初めてソリストとして踊ることになった最初の作品「くるみ割り人形」のリハーサルの時のコーチも、彼女でした。当時、私たちはコリフェでした。オレリー・デュポンは私たちがコール・ド・バレエでデビューした時からずっと私たちを見てきてくださいました。私たちの練習、舞台への関わり方も良く知っています。これまで長い間、役作りや昇進試験などの準備を指導してきてくださったので(L.B.はコリフェ昇進試験の際、黒鳥のソロをオレリーに指導してもらっている......)、今回の任命はとてもほっとし、勇気づけられました。昇進できて良かったです。


■ 踊ってみたい役柄や、一緒に仕事をしてみたい振付家はいますか?


G.L.: チャンスはいつも突然にやってきますからね。例えば、「オネーギン」のレンスキーやオネーギンは僕のお気に入りです。振付に関しては、着想の美しい振付と出会っていけたらと思います。サシャ・ヴァルツの「ロミオとジュリエット」も好きなコンテンポラリー・バレエですし、もちろんピナ・バウシュ作品はどれも好きです......。


L.B.: 「オネーギン」は私も大好きです。ストーリーに重きを置いた物語性の高いバレエが好きなので、「オネーギン」のタチヤーナやオリガは興味深い役です。同作品には、道程というのか、素晴らしい探究があると思います。昨年9月に、クリスタル・パイト創作の「ザ・シーズンズ・カノン」を初めて観ましたが、とても素晴らしい作品でした。クリスタル・パイトのエネルギーが私は好きです。


※パリ・オペラ座バレエ団のウェブサイトより翻訳掲載。


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