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2016/12/06 2016:12:06:20:53:43

【パリ・オペラ座バレエ団】スペシャル・インタビュー ジェルマン・ルーヴェ[2]

正統派ダンスール・ノーブルのエトワール候補としていま大注目のジェルマン・ルーヴェのインタビュー。第2回は、この年末公演で大抜擢を受けた『白鳥の湖』についてです。

エトワールに混ざってジークフリートを踊れる幸運

 来日の前に、ジェルマンにはパリで大きな仕事が控えている。『白鳥の湖』のジークフリート役をクリスマスから大晦日にかけて、3晩踊るのだ。オレリー・デュポンがこの配役を発表したのはコンクール前で、彼はスジェ。オペラ座のヒエラルキーを尊重し、主役にはエトワールを配すると宣言している彼女による、異例の抜擢といえよう。

「 『白鳥の湖』はいつか主役を踊りたいと夢見ていた作品です。前回のオペラ座の公演では、パ・ド・トロワやマズルカなどコール・ド・バレエで踊っています。それにガラで第2幕、第3幕のパ・ド・ドゥを踊ることがよくあるし、前回のコンクールでは第1幕のスロー・ヴァリエーションを自由曲に選んでいます。ビデオで何度もみているし、よく知っている作品だ、といえます。
 ジークフリート役を踊れるのは、とても嬉しいです。でも、『白鳥の湖』では僕以外はエトワールばかりが配役されているので、これはすごい幸運だとわかるだけに、スジェの僕を主役に選んでくれたことをオペラ座の上層部に失望させたくない、という思いが強くあって。実はこの間のスジェからプルミエールに上がるコンクールがとってもストレスだったのです。彼らの僕に対する期待にふさわしい仕事をみせたいと思ったので...」

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「白鳥の湖」ジークフリート(2015年の昇級コンクールより) photo:Sébastien Mathé

 今回のコンクールはオペラ・ガルニエで公演〈ジョージ・バランシン〉の真っ最中のことだった。彼は『ブラームス・シェーンベルグ・カルテット』と『ソナチネ』に配役されていたので、コンクールのための稽古の時間を捻出するのも大変だったのだが、無事に1席のプルミエ・ダンスールのポストを獲得することができた。

「エトワールに混じって自分もジークフリートを踊るのだ、という公演へのストレスはあります。でも、そのことを意識していたらストレスが増すばかり。プレッシャー、他人の視線といったことから自分を解放する必要があります。だから、こう思うようにしています。"外科医とちがって、人命はかかっていないんだ。美しい踊りをみせ、舞台上で喜びが感じられ、観客と分かち合うことができることが大切なんだ"と」

 テクニック的には難しいけれど、学校時代からの仕事の積み重ねの延長上にあるのがヌレエフの『白鳥の湖』だという。これまで怠ることなくやってきたら、自然に踊れるはず! と、ジェルマンの発言はなんとも頼もしい。『白鳥の湖』の主役を踊ることによって、一回り大きくなって来日するに違いない。


インタビュー・文/濱田琴子(ジャーナリスト、在パリ)


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