2014/10/27 2014:10:27:12:57:15[NBS最新情報]
昨日10月26日、サントリーホールで行われたズービン・メータ指揮
イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会の曲目として当初発表していたA.ヴィヴァルディの楽曲が、当日、下記のように変更となり演奏されておりました。
日本公演の楽曲の発表はイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団からの連絡をもとに行いましたが、オーケストラ側がアジア・ツアーの一環で曲目を変更しており、日本側への連絡が滞っていたことから今回の事態が生じたものです。
10月26日の演奏会にご来場いただいたお客様にはお知らせできず、大変申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます。
A.ヴィヴァルディ作曲
4つのヴァイオリンのための協奏曲 ホ短調 op.3 No.4 RV550
↓
[変更] 4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ロ短調 op.3 No.10 RV580
なお、以下に演奏された楽曲の解説を掲載いたします。
また10/27(月)東京芸術劇場コンサートホール、10/30(木)福岡シンフォニーホール、11/1(土)ザ・シンフォニーホール[大阪]、11/3(月)愛知県芸術劇場コンサートホールにおける演奏会のプログラムも同様に変更になります。なにとぞご了承ください。
公益財団法人日本舞台芸術振興会
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アントニオ・ヴィヴァルディ(1678~1741)
合奏協奏曲「調和の霊感」Op.3より
4つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲 ロ短調 No.10 RV580
A.Vivaldi
: "L'estro Armonico" Op.3 Concerto for 4 Violins and Cello in B
minor, RV 580
アントニオ・ヴィヴァルディが残した協奏曲は、450曲におよぶといわれる。「調和の霊感」と題した作品3は、1712年にヴィヴァルディの最初の出版として刊行された曲集で、12曲の弦楽器の協奏曲から成る。大部分は、司祭の職にあるとともに、ヴェネツィアの女子孤児院の音楽学校における指導者も務めたヴィヴァルディが、この学校の女子合奏団のために作曲したと考えられている。12曲中の6曲を、J.S.バッハが習作の目的で編曲したことから、ヴィヴァルディのこの曲集は早くから世に知られることとなった。
数個の独奏楽器群と弦楽合奏による合奏協奏曲の形態は、17世紀後半にアレッサンドロ・ストラデッラやアルカンジェロ・コレッリによって始められ、その後ヴィヴァルディやヘンデル、J.S.バッハたちによって発展させられた。コレッリに見られる典型的な合奏協奏曲では、独奏楽器群でソロを受け持つのはヴァイオリンとチェロだったが、ヴィヴァルディの「調和の霊感」では、独奏楽器群の楽器によって大きく3種類に分けられる。4つのヴァイオリンを中心とする4曲、2つのヴァイオリンを中心とする4曲、そして独奏ヴァイオリンのための協奏曲4曲である。また、楽曲構成の点では、コレッリの時代には遅い楽章と速い楽章が繰り返されるコンチェルト・ダ・キエザと流行りの舞曲などを取り入れた組曲のような性格をもったコンチェルト・ダ・カメラという異なる様式があったが、この「調和の霊感」では、コンチェルト・ダ・キエザのかたちをとるものは3曲、あとの9曲は急-緩-急の3楽章構成で書かれている。バロックの協奏曲は、17世紀末から18世紀にかけて、合奏協奏曲から独奏協奏曲へ、楽章構成も3楽章へと変化したが、その傾向が示されているともいえる。
ここで演奏される第10番は、先にも記したJ.S.バッハが編曲した6曲のなかの一つ。実際には、原曲よりもバッハによるイ短調の4台のチェンバロのための協奏曲の方によって、この曲を知る人は多いかもしれない。
曲は以下の3つの楽章から成る。
第1楽章 アレグロ ロ短調。
トゥッティとソロが交替するリトルネロ形式。普通はトゥッティから始まり、トゥッティで終わるが、この曲ではソロがトゥッティのリトルネロのモチーフを予告する。
第2楽章 ラルゴ
ラルゴ-ラルゲット-ラルゴの三部形式。前後のラルゴの調性は浮動的だが、中間部のラルゲットはロ短調をとる。このラルゲットでは、通奏低音楽器ははずされ、チェロと第1、第2ヴィオラの和声の上に、4つの独奏ヴァイオリンが異なったアルペッジョを奏する。
第3楽章 アレグロ ロ短調。
5回のトゥッティの間に4回のソロが挟まれるリトルネロ形式。最初のトゥッティがやや長く、pとfの対比が効果的に用いられる。第3のソロで新しい音形が現れた後、第4のソロではチェロも16分音形を刻んで加わる。華やかさを感じさせるトゥッティで曲を閉じる。