NBS News Web Magazine
毎月第1水曜日と第3水曜日更新
NBS日本舞台芸術振興会
毎月第1水曜日と第3水曜日更新

NEW2024/07/03(水)Vol.497

ミラノ・スカラ座2024/2025シーズン
2024/07/03(水)
2024年07月03日号
世界の劇場を知ろう
特集

ミラノ・スカラ座2024/2025シーズン

5月末、ミラノ・スカラ座が2024/2025シーズンプログラムを発表しました。欧米の多くの歌劇場は秋に開幕しますが、ミラノ・スカラ座はミラノの守護聖人である聖アンブロシウスの日、12月7日の開幕が恒例となっています。

今年は、ドミニク・マイヤー総裁にとって最後のシーズン。マイヤー総裁は、スカラ座の2020年日本公演がコロナ禍により中止となった際、来日メンバーとして予定されていた歌手たちのために急遽ミラノでのコンサートを開催したり、2023年にはストリーミング・プラットフォームLaScala.TVをスタートさせるなど、ミラノ・スカラ座に数々の新風を吹き込みました。最後となるシーズンに予定されている青少年向けの委嘱新作初演は、スカラ座においては初めてのこと。次世代を見据えたマイヤー総裁の功績の一つといえるかもしれません。

では本題。世界のオペラ・ファンが注目するオープニングは『運命の力』。リッカルド・シャイー指揮、アンナ・ネトレプコ、ルドヴィク・テジエ、ヨナス・カウフマンといった超のつく豪華キャストに注目が集まりますが、演出のレオ・ムスカートはかつてフィレンツェの『カルメン』でカルメンではなくホセが殺されて終わるようにかえた演出をつくったという人。いわく、「昨今、配偶者の暴力で命を落とす女性が増え、最後女性が死んで拍手をもらうなんてことはやめた方がいい」とのこと。登場人物全員が死んでしまう『運命の力』にもサプライズはあるのか、気になるところです。

スカラ座の2024/2025シーズンでもう一つ話題を呼んでいるのは『ノルマ』が48年ぶりに上演されること。ファビオ・ルイージ指揮、タイトルロールにはマリーナ・レベカが起用され、オリヴィエ・ピィが新演出を手がけます。

前シーズンの2024年秋にクリスティアン・ティーレマン指揮、デイヴィッド・マクヴィカー演出『ラインの黄金』でスタートする《ニーベルングの指環》の新制作は2025年に2シーズン目となり、『ワルキューレ』と『ジークフリート』が上演されます。2026年の『神々の黄昏』で4作が完成後、チクルス上演が予定されています。

シーズン最後の新演出上演『コジ・ファン・トゥッテ』の指揮は、英国人指揮者アレクサンダー・ソディのスカラ座デビュー。

2024/25シーズンのオペラは14作のうち8作が新演出

『運命の力』新演出2024/12/7〜
リッカルド・シャイー指揮、レオ・ムスカート演出

『ファルスタッフ』2025/01/16〜
ダニエレ・ガッティ指揮、ジョルジョ・ストレーラー演出

『ワルキューレ』新演出2025/2/5〜
クリスティアン・ティーレマン指揮、デイヴィッド・マクヴィカー演出

『エフゲニー・オネーギン』新演出2025/2/19〜
ティムール・ザンギエフ指揮、マリオ・マルトーネ演出

『トスカ』2025/03/15〜
ミケーレ・ガンバ指揮、ダヴィデ・リヴェルモア演出

『オペラ・セリア』(フロリアン・レオポルト・ガスマン作曲)新演出2025/3/29〜
クリストフ・ルセ指揮、ロラン・ペリー演出

『薔薇の名前』(フランチェスコ・フィリデイ作曲)世界初演2025/04/27〜
※ウンベルト・エーコの小説に基づく委嘱作
インゴ・メッツマッハー指揮、ダミアーノ・ミキエレット演出

《ワイル三部作》新演出2025/5/14〜
『7つの大罪』『マハゴニー』『ハッピー・エンド』
リッカルド・シャイー指揮、イリーナ・ブルック演出

『ジークフリート』新演出2025/6/6〜
クリスティアン・ティーレマン指揮、デイヴィッド・マクヴィカー演出

『ノルマ』新演出2025/06/27〜
ファビオ・ルイージ指揮、オリヴィエ・ピィ

『ラ・チェネレントラ』2025/9/6〜
ジャンルカ・カプアーノ指揮、ジャン=ピエール・ポネル演出

『リゴレット』2025/10/7〜
マルコ・アルミリアート指揮、マリオ・マルトーネ演出

『連隊の娘』2025/10/17〜
エヴェリーノ・ピド指揮、ロラン・ペリー演出

『コジ・ファン・トゥッテ』新演出2025/11/5〜
アレクサンダー・ソディ指揮、ロバート・カーセン演出

ミラノ・スカラ座2024/2025シーズン公式サイト
https://www.teatroallascala.org/it/stagione/2024-2025/index.html