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Photo: Merri Cyr

2024/06/19(水)Vol.496

英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演
ネイディーン・シエラに聞く『リゴレット』、そしてジルダ
2024/06/19(水)
2024年06月19日号
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Photo: Merri Cyr

英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演
ネイディーン・シエラに聞く『リゴレット』、そしてジルダ

その声の美しさ、シームレスなテクニック、豊かな音楽性が高く評価され、今日のオペラ界で高く評価されているネイディーン・シエラ。彼女の魅力が最大限に発揮されるレパートリーの一つが『リゴレット』のジルダ役です。英国ロイヤル・オペラ『リゴレット』のジルダ役で、日本デビュー目前! この演目、この役についての彼女自身の言葉をご紹介します。

「お客さまに感じていただきたいのは、ジルダが愚かな娘ではないということです」

「『リゴレット』は数あるオペラのなかで、"悪徳と復讐心の世界で行動することの結末"を描きだした、最も悲しい物語の一つといえるでしょう。人生における"因果応報"ということに焦点があてられていて、人間の善悪の行いの結末が描かれています」というシエラ。そのなかでのジルダをどう解釈しているのか?
「ジルダは、この作品のなかで"光"の存在です。彼女は物語の最後に自己犠牲によって......自分のことを弄んだ公爵や、復讐心にかられて公爵の殺害を依頼した父親を、自らが業や罪を背負うことで救おうとするのです。ジルダの魂は本当に特別なもの。今もなお続いている混沌とした世の中において、光やけがれのない純粋無垢な存在があるということを私たちに感じさせてくれます」

実際にジルダを演じるポイントとなるのは?
「私がお客さまに感じていただきたいのは、ジルダが愚かな娘ではないということです。彼女は敬虔な教育を受け、信仰心が厚く、キリストの教えに忠実でした。ジルダは物語の最後に浅はかな選択をしたのではありません。彼女が最後にはらう自己犠牲は、イエス・キリストが救い主として人類の罪を十字架で贖(あがな)ったことと同じです。彼女は、他の人間の罪が許されるために贖罪(しょくざい)したのです。これこそがジルダの重要な点であり、彼女はまだ世の中を知らないとても若い娘でもあるにもかかわらず、他のどの登場人物をも超越した存在になることができたのです」

シエラは、『リゴレット』のジルダ役で2016年にはミラノ・スカラ座へのデビューを果たしました。その初日、リゴレット(レオ・ヌッチ)との二重唱が聴衆からの大喝采を受けてアンコールが行われたことは、トスカニーニ以来のスカラ座の伝統を打ち破る話題となりました。

Photo: Merri Cyr

シエラの英国ロイヤル・オペラへのデビューは昨年(2023年秋)の『愛の妙薬』でのこと。"ようやく叶った!"という聴衆の歓声が上がったことのときのことは彼女自身にとっても忘れがたいものだったと言います。
「本当に素晴らしい経験でした......歌劇場からもロンドンのお客さまからもとても温かく迎えていただきました。忘れられない経験となったのは、歌劇場の方々のプロフェッショナルとしての仕事だけではなく、オペラとそれに携わるアーティストに対する愛情です。とても感謝の気持ちでいっぱいです」
英国ロイヤル・オペラでのシエラ登場への喝采は今年春にも再燃しました。英国ロイヤル・オペラではこの春、アスミク・グリゴリアン主演『蝶々夫人』、アイグル/アフメシナ主演『カルメン』、そしてシエラ主演の『ランメルモールのルチア』が上演され、"コヴェント・ガーデン"の春のソプラノ三連発となりました。このなかでも最高とされたのはシエラのルチアで、"息を呑むような声、観る者を不安な狂気へと引き込む"と絶賛されました。

『ランメルモールのルチア』(英国ロイヤル・オペラ公演より)
Photo: Merri Cyr

英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演は、アントニオ・パッパーノが音楽監督として率いる最後の機会となりますが、シエラにとってパッパーノの印象は?
(マエストロとは)これまでにいくつかのコンサートでご一緒していますし、ローマでセミ・ステージ形式* で上演された『ウエスト・サイド・ストーリー』(レナード・バーンスタイン作曲)でも共演しました。このローマでの舞台はとても素敵な経験でしたので、マエストロとこうしてまた共演できることを本当に楽しみにしてます」

*セミ・ステージ形式:通常のオペラやミュージカルとは異なり、オーケストラが舞台上にのっていて、その前で歌手が歌ったり演技したりする形式の公演のこと。装置や衣裳が省略されることもある。「演奏会形式」といわれることもある。

幼い頃に『ラ・ボエーム』のビデオを観てオペラに夢中になり、子どもの頃から自分は"オペラのために生まれてきた"と感じていたと公言するシエラ。
「Viva Opera(オペラ万歳)! 皆さまの美しい国、日本に呼んでいただいて、本当にありがとうございます!」
という言葉を日本のファンに送ってくれました。

Photo: Merri Cyr

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英国ロイヤル・オペラ2024年日本公演
『リゴレット』全3幕
『トゥーランドット』全3幕

公演日

ジュゼッぺ・ヴェルディ
『リゴレット』全3幕

指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:オリヴァー・ミアーズ
6月22日(土)15:00 神奈川県民ホール
6月25日(火)13:00 神奈川県民ホール *横浜平日マチネ特別料金
6月28日(金)18:30 NHK ホール
6月30日(日)15:00 NHK ホール

[予定される主な出演者]
マントヴァ公爵:ハヴィエル・カマレナ
リゴレット:エティエンヌ・デュピュイ
ジルダ:ネイディーン・シエラ

ジャコモ・プッチーニ
『トゥーランドット』全3幕

指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:アンドレイ・セルバン
6月23日(日)15:00 東京文化会館
6月26日(水)18:30 東京文化会館
6月29日(土)15:00 東京文化会館
7月2日(火)15:00 東京文化会館

[予定される主な出演者]
トゥーランドット姫:ソンドラ・ラドヴァノフスキー
カラフ:ブライアン・ジェイド
リュー:マサバネ・セシリア・ラングワナシャ

入場料[税込]

S=¥72,000 A=¥62,000 B=¥48,000
C=¥38,000 D=¥32,000 E=¥22,000
U29シート=¥10,000 [全公演対象]
U39シート=¥18,000 [6/22(土)『リゴレット』、6/26(水)『トゥーランドット』限定]
※サポーター席=¥122,000 [寄付金付きのS席 S席72,000円+寄付金50,000円]

横浜平日マチネ特別料金[6/25(火)限定]
S=¥49,000 A=¥42,000 B=¥35,000
C=¥30,000 D=¥25,000 E=¥20,000
U29シート=¥8,000 [全公演対象]
※サポーター席=¥99,000 [寄付金付きのS席 S席49,000円+寄付金50,000円]