バレエ版“ロミオとジュリエット”の最高峰ヴァージョン。

「ロミオとジュリエット」
ウィリアム・シェイクスピア原作によるジョン・クランコ振付の全3幕のバレエ

音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
装置・衣裳:ユルゲン・ローゼ

Photo:Stuttgarter Ballett

主人公たちの感情をいきいきと描いたヴァージョンとして、数ある 「ロミオとジュリエット」の中でも高い人気を誇るクランコ版。ユルゲン・ローゼによる繊細で美しい衣裳・美術、プロコフィエフの音楽の高揚感と見事にマッチしたみずみずしいパ・ド・ドゥなど、初演から半世紀を経た現在も、その輝きは褪せることを知らない。

30代前半の若きジョン・クランコが、この作品をシュツットガルト・バレエ団のために振付けたのは、自身が芸術監督の座に就いて2年目の1962年。発表されるや作品は賞賛を集め、のちに “シュツットガルトの奇跡” と呼ばれるバレエ団躍進の大きな力となってゆく。

世界一有名な悲恋物語ともいうべきシェイクスピアの戯曲を原作としながら、いささかの迷いも屈託も感じさせないのびのびとしたストーリー展開や、場面ごとに鮮やかに変化する踊りの味わいは、物語バレエの稀有な語り手としてのクランコの面目躍如たるものがある。主役たちが知りそめた恋の喜びをうたいあげるバルコニーのパ・ド・ドゥや別れの切なさをこめたパ・ド・ドゥに深く胸を打たれるのはもちろん、威風堂々としたキャピュレット家の舞踏会、アクロバティックな躍動感に満ちたカーニバルの踊りなど、群舞の見応えも十分。ティボルト、キャピュレット夫妻ら脇役の描き方にも、クランコ一流の温かみが感じられ、作品により一層の魅力を加えている。

CAST

11月13日(金)6:30p.m.

ジュリエット:
アリシア・アマトリアン
ロミオ:
フリーデマン・フォーゲル

11月14日(土)2:00p.m.

ジュリエット:
アンナ・オサチェンコ
ロミオ:
ジェイソン・レイリー

11月15日(日)2:00p.m.

ジュリエット:
エリサ・バデネス
ロミオ:
ダニエル・カマルゴ

Photos:Roman Novitzky

※表記の配役は2015年5月1日現在の予定です。出演者の怪我や病気、シュツットガルト・バレエ団の都合により変更になる場合があります。出演者変更にともなうチケットの払い戻し、公演日・券種の変更はお受けできません。正式な配役は公演当日に発表いたします。

STORY

第1幕
第1場 市場

明け方、モンターギュの息子、ロミオが美しいロザラインに愛の告白をしている。日が昇ると、市場は街の人々でいっぱいになり、そこには、不倶戴天の敵ともいうべきキャピュレット家とモンターギュ家の者たちもいる。怒りがぶつかり合い、争いが始まる。ヴェローナ侯が現われ、両家に対しこれ以上不仲が続くようだったら両者に罪を与えると警告し、場合によっては死刑にも処すると宣告する。ロミオと友人のベンヴォーリオとマキューシオは、キャピュレット家の親族の男、ティボルトとしぶしぶと和解を示す。

第2場 キャピュレット家のジュリエットの次の間

ジュリエットは、母親のキャピュレット夫人からはじめての舞踏服を授かる。そして翌日、フィアンセのパリス伯爵と初めて会うことになっていることを聞かされる。いよいよ彼女は、少女時代に別れを告げねばならない。

第3場 キャピュレット家の外

キャピュレット家の舞踏会につぎつぎと客人が訪れ、中にはロザラインの姿もある。彼女を追って、仮面をつけたロミオと友人たちも舞踏会に現われる。

第4場 舞踏会場

ジュリエットは客人らとパリスに紹介される。パリスと踊りながら、彼女とロミオは互いに見つめあい、一目で恋に落ちる。ロミオの素性を怪しむティボルトは対決しようとするが、もてなしの慣習に従おうとするジュリエットの父親に止められる。

第5場 ジュリエットのバルコニー

寝室のバルコニーに出てジュリエットはロミオのことを夢想している。そこへ彼が庭に現われ、ふたりは永遠の愛を誓い合う。

第2幕
第1場 市場

広場はカーニバルで盛り上がっている。夢心地のロミオは周囲のお祭り騒ぎにも興味がない。ジュリエットの乳母が手紙を届けに来、そこにはジュリエットからロレンス神父の礼拝堂で会いたいと書いてある。

第2場 礼拝堂

修道院でロレンス神父は若い恋人たちの結婚に立ち会う。

第3場 市場

カーニバルの真っ最中に、ロミオは広場へ戻ってくる。ティボルトが話しかけるが、ロミオは闘おうとはしない。怒ったマキューシオがティボルトと決闘し、彼の手でマキューシオは死をとげる。呆然として取り乱したロミオは、ティボルトに襲いかかり殺してしまう。

第3幕
第1場 寝室

ジュリエットの寝室で恋人たちは夜明けに目覚め、追放の身となったロミオはジュリエットのもとを、ヴェローナを去らねばならない。キャピュレット夫人がパリスを伴って入ってくるが、ジュリエットはパリスを拒絶する。

第2場 礼拝堂

ジュリエットがロレンス神父に助けを求めると、仮死状態になれる眠り薬を与えられる。神父はロミオがキャピュレット家の墓所でジュリエットとおちあえば、ふたりでそこから一緒に逃れられると説明する。

第3場 寝室

両親が戻ると、ジュリエットはパリスとの結婚を承諾する。パリスが両親と立ち去ると、ジュリエットは眠り薬を飲み、発見した家族と友人らはジュリエットが死んでしまったと思う。

第4場 キャピュレット家の地下納骨堂

ロレンス神父からの計画を明かす知らせを受け取っていなかったロミオは、ジュリエットが死んでしまったと思い込み、墓所へ駆けつける。そこでいたみ悲しんでいるパリスを見つけ殺してしまう。最期にジュリエットを抱きしめ、ロミオは短剣を心臓に突き刺す。ジュリエットが目覚め、息絶えたロミオを見とめる。深い悲しみに打ちひしがれ、ジュリエットも自ら命を絶つ。

Photos:Stuttgarter Ballett

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