ローマ歌劇場 2018年日本公演 一斉前売開始2018年3月下旬予定

 ローマ歌劇場4年ぶりの日本公演は、ヴェルディの傑作『椿姫』とプッチーニのオペラ作曲家としての原動力となった『マノン・レスコー』が上演されます。この二つのオペラが並べられることを、原作について深い関連をもつ2作、と感じるオペラ通も少なくないでしょう。あるいは、世間知らずの青年が“一枚上手”の女性に一目惚れ、首尾よくカップルとなるも、愛し合う二人を“障害”が襲い、遂には死で幕となるという、ある意味で共通するストーリー性をもつ2作が並ぶことへの興味を高めているかもしれません。
 もちろん、オペラ・ファンの深い読みに応えるプログラムではありますが、今回の日本公演でオペラ・ファンならずとも話題と注目を集めるのは、二人の女流演出家対決といえそうです。それもいずれ劣らぬ“巨匠の娘”! 映画監督の巨匠フランシス・フォード・コッポラの娘ソフィア・コッポラと、イタリアを代表する音楽界の“帝王”リッカルド・ムーティの娘キアラ・ムーティです。
 ソフィア・コッポラは、すでに映画監督として注目を集めており、日本でも映画「マリー・アントワネット」の大ヒットを記憶している人も多いはず。ローマ歌劇場『椿姫』は彼女にとってオペラ演出家デビューとなりますが、映画では、監督だけでなく、脚本や演出においても高い評価を得ているだけに、オペラ演出においても、その鋭い感性や視点が活かされます。さらに、世界に名だたるヴァレンティノ・ガラヴァーニが衣裳を、ハリウッドで数々の大作を手がけるネイサン・クロウリーが舞台美術を手がけたこの『椿姫』は、映画界からファッション界におよぶ話題作ともなっています。
 一方、恵まれた音楽的環境のなかで育ったキアラ・ムーティは、自身の活躍の場を女優として確立しました。イタリアにおける最優秀若手女優と認められながら、クラシック音楽のなかでも表現者として多彩に活躍できるのは、偉大なる父から受け継ぐ血の成せるところでしょう。2012年にオペラ演出家としてデビュー。ローマ歌劇場の『マノン・レスコー』では、若さゆえの稚拙な愛の無邪気さ、疾走する激情、抗えない悲劇性など、それぞれの場面に自身の女優経験からの要求が盛り込まれていますが、そこには一つのフレーズもおろそかにしない音楽への深い理解も感じられます。
 自分を愛してくれる人のための愛に生きる『椿姫』のヴィオレッタ、自分が生きていくための愛に死んでいく『マノン・レスコー』のマノンーー、二人の女流演出家が描き出す“命懸けの愛”の物語対決の実現といえるでしょう。

2018年日本公演
ローマ歌劇場

『椿姫』

指揮:ヤデル・ビニャミーニ
演出:ソフィア・コッポラ

【公演日】

2018年
9月9日(日)3:00p.m.
9月12日(水)3:00p.m.
9月15日(土)3:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

ヴィオレッタ:フランチェスカ・ドット
アルフレード:アントニオ・ポーリ
ジェルモン:レオ・ヌッチ

*表記の出演者は2017年10月現在の予定です。今後、出演団体側の事情により変更になる場合があります。

『マノン・レスコー』

指揮:ドナート・レンツェッティ
演出:キアラ・ムーティ

【公演日】

2018年
9月16日(日) 3:00p.m.

会場:神奈川県民ホール

9月20日(木)3:00p.m.
9月22日(土)3:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

マノン:クリスティーネ・オポライス
デ・グリュー:グレゴリー・クンデ
レスコー:アレッサンドロ・ルオンゴ

*表記の出演者は2017年10月現在の予定です。今後、出演団体側の事情により変更になる場合があります。