オペラ座&ロイヤル夢の共演〈バレエ・スプリーム〉Ballet Supreme 輝く共演を繰り広げる二大バレエ団のトップ・スターたち

パリ・オペラ座バレエ団と英国ロイヤル・バレエ団、それぞれのカンパニーの選りすぐりのダンサーが登場する〈バレエ・スプリーム〉。この共演は、個々のダンサーの共演であるとともに、二大バレエ団が華やかに火花を散らす舞台でもあります。オレリー・デュポンが選んだ7人、スティーヴン・マックレーが選んだ8人、それぞれの魅力を、舞踊評論家の柴田明子さんに紹介してもらいました。

Photo:Julien Benhamou/OnP

 昨年大晦日に誕生した新エトワール、レオノール・ボラック。前芸術監督ミルピエの抜擢に応え現代作品で頭角を現したが、気品あふれるクラシックの素晴らしさも、初めて踊った「白鳥の湖」でエトワールに任命された事実が物語る。

Photo:ROH, Johan Persson

 話題作「フランケンシュタイン」で怪物を踊ったスティーヴン・マックレーに強く心打たれた。高度な技術に繊細な演技がぴったりと重なり、怪物の心情を余すところなく描きだしていたからだ。心技体、いずれもが絶頂期にあるいま、マックレーを見逃す手はない。

Photo:Kiyonori Hasegawa

 華麗な脚さばき、しなやかな跳躍、優雅な身のこなし。そこから立ちのぼる、えも言われぬ芳醇な香り。そんなオペラ座のエスプリをもっとも体現するエトワールは?と聞かれて、真っ先に脳裏に浮かぶのがマチアス・エイマンである。

Photo:ROH, Johan Persson

 役柄への深い洞察と考え抜かれた演技が胸に迫るサラ・ラム。ガラスのような透明感と儚さ。少女のような無邪気さ。その涼やかな持ち味で、波乱万丈のヒロインから幻想の世界までを自由に行き来する。

Photo:Julien Benhamou/OnP

 まるで舞台にさわやかな風が吹き込んだよう。昨年観たジェルマン・ルーヴェの印象である。すらりと均整のとれたロマンティックな風貌。豊かな感性で古典から現代作品までをも踊りこなす。飛び級という劇的な昇進劇を果たした新エトワールから目が離せない。

Photo:ROH, Bill Cooper

 フェデリコ・ボネッリには、ロマンティックな役柄や麗しい王子役がよく似合う。だが、最近のロイヤル・バレエ団新創作では、より複雑で陰影に富んだ役を踊ることも多い。今回は、そんな一面にも触れる絶好の機会になるだろう。

 絢爛豪華で重厚なパリ・オペラ座の古典大作がもっとも似合うエトワールの一人、ミリアム・ウルド=ブラーム。可憐な容姿ながら、一つ一つの動きが明確で優美。その叙情性も相まって、観るものの心に鮮やかな印象を残す。

Photo:ROH, Alice Pennefather

 高田茜と同時期にプリンシパルになったフランチェスカ・ヘイワード。だが、二人の個性はまったく異なる。高田が静なら、ヘイワードは動。溌剌とした踊りと迫真の演技でヒロインの人生を駆け抜ける。

Photo:Little Shao/ONP

 オペラ座日本公演ではエトワールに代わって「ドン・キホーテ」の主役を務め、その力強くエネルギッシュな踊りで喝采を浴びたフランソワ・アリュ。悪魔ロットバルトなど、重要な脇役でも抜群の存在感を見せる。

Photo:ROH, Tristram Kenton

 幾多のコンクール受賞歴を誇るヤーナ・サレンコは、強靭なテクニックで、華麗な技も難なくこなす。しかし彼女の本領は、その技術が生み出す、ニュアンスに彩られたダンスで役柄に生命を吹き込めることだろう。

Photo:Julien Benhamou/OnP

 長身に甘いマスク。舞台のどこにいても自然と目が追ってしまうのがユーゴ・マルシャンだ。入団してまだ6年ながら、すでに「マノン」「ロミオとジュリエット」などに主演し好評を博している。次期エトワール最有力候補の一人だ。

Photo:ROH, Bill Cooper

 昨年のバレエ団来日公演で目を惹いたのが、マルセリーノ・サンべである。柔軟な肢体に自在な感性。皮肉と愛嬌が混在する複雑なキャラクターを生き生きと演じてみせた。ロイヤルバレエ期待の若手である。

Photo:Ann Ray/OnP

 日本生まれのオニール八菜。スジェのとき「白鳥の湖」に主演。それを観た振付家本人が「パキータ」の主役に指名。そして、激戦の昇級試験に毎年合格し、現在はプルミエール。その活躍ぶりには快進撃という言葉こそふさわしい。

Photo:ROH, Bill Cooper

 高田茜を観ると「淑やか」という言葉が思い浮かぶ。奥ゆかしく、それでいて人物の内面をしっとり描く稀有な才能を持っているからだ。今回はプリンシパルとしての初来日。まさに、凱旋公演と言ってもいいだろう。

オニール・八菜
三越伊勢丹グループの「this is japan.」に登場

 「this is japan.」は2015年よりスタートした三越伊勢丹グループの企業メッセージ。「基本を大切にしながら、未来に向かっていく勇気」をテーマとする2017年のメッセージに、パリ・オペラ座バレエ団のオニール八菜が登場。
 1月1日より開設されているスペシャルサイトでは、オニール八菜と振付家ピエール・ラコット氏のインタビュー動画が見られるほか、2月4日の立春からは、日本の四季の移ろいを伝える二十四節気を表現したパフォーマンスが紹介されます。
 7月のオペラ座&ロイヤル 夢の共演〈バレエ・スプリーム〉公演での来日を前に、彼女への注目が高まりつつあります。
【スペシャルサイト】 http://this-is-japan.jp/

Photo:Andrej Uspenski

 ユース・アメリカ・グランプリで銀賞を受賞したとき、美しい跳躍や躍動感が評されたベンジャミン・エラ。その後英国ロイヤル・バレエ団に入団し、昨年の来日公演では「ジゼル」のペザントなどを踊った。これからが楽しみなダンサーだ。

オペラ座&ロイヤル 夢の共演
〈バレエ・スプリーム〉

【公演日】

Aプロ
2017年  7月26日(水)6:30p.m.
7月27日(木)6:30p.m.
Bプロ
2017年  7月29日(土)1:00p.m.
7月29日(土)6:00p.m.
7月30日(日)2:00p.m.

会場:文京シビックホール

※演奏は特別録音による音源を使用します。

【予定される演目】

「白鳥の湖」、「ドン・キホーテ」、「ロミオとジュリエット」、「ジゼル」などのパ・ド・ドゥをはじめ、ヌレエフ、バランシン、アシュトン、スカーレット等による振付作品の数々を予定。

※演目の詳細はホームページ。

【入場料[税込]】

S=¥19,000 A=¥17,000 B=¥15,000 C=¥12,000 D=¥9,000
学生券=¥3,000

*学生券はNBS WEBチケットのみで6/23(金)より発売。
★ペア割あり [S,A,B 席] ★親子ペア割あり[S,A,B 席]