イングリッシュ・ナショナル・バレエ 2017年日本公演 大躍進中の注目のバレエ団、華麗に日本上陸!

Photo:Laurent Liotardo

タマラ・ロホ芸術監督率いる新生ENBの躍進は
“英国バレエ革命”だ!

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タマラ・ロホ Tamara Rojo

 今、英国で最も注目されているバレエ団と聞かれたら、多くの人が迷うことなくイングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の名前を挙げるだろう。2012年、当時英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルだったタマラ・ロホが芸術監督に就任する前には、いったい誰がこの大躍進を想像できただろうか。長い間英国ロイヤル・バレエ団の影にあったENBだが、 ロホ新芸術監督のもと次々と画期的なプロジェクトがうちだされ、ユニークで独創的な世界的バレエ団へと華麗なる変身を遂げた。まさに今、ロホ率いる新生ENBは英国バレエ革命を起こしていると言っても過言ではない。
 リスクを厭うことなく、バレエの可能性に挑戦し続けるロホの方針はどこまでも野心的だ。リアム・スカーレット、ラッセル・マリファント、アクラム・カーンという今の英国を代表する振付家に、〈戦争〉という難しいテーマで新作をコミッションした『レスト・ウィ・フォーゲット』、3人のほぼ無名の女性振付家を起用した新作『シー・セッド』、最近ではチケットが瞬く間に完売し大ヒットとなったアクラム・カーンによる大胆な現代的解釈の『ジゼル』など、あっと驚くようなプログラムで英国中の観客の心をつかんできた。
 ENBはもともと、英国内外にバレエを届けることを目的としたツアー・カンパニーであり、英国アーツカウンシルからの助成がロイヤル・バレエ団よりも限られていたこともあって、上演作品は確実にチケットの売れる『白鳥の湖』などの古典バレエが中心になりがちであった。ロホが凄いのは、こうした制約を逆に好機ととらえた点にある。地方公演は積極的に若手に主演のチャンスを与える機会に、また常にロイヤル・バレエ団のライバルとして位置付けられることは、逆に独自のアイデンティティを作り上げることができる格好の機会として、より冒険的なプログラミングに挑戦すべきと考えたのだった。
 同時に、〈バレエを幅広い観客に届ける〉というバレエ団創設時からのミッションは今なおENBの核であり続けている。子供のための「私の初めてのバレエ」シリーズや、 パーキンソン病患者のためのアウトリーチ活動を積極的に行うほか、現代の観客の心に響く舞台づくりを目指して 古典バレエの見直しも積極的に行う。中でも今回の来日公演で上演されるアナ=マリー・ホームズ版『海賊』は、ロホ監督着任後の2013/2014年シーズンに英国で最も注目を集めた作品のひとつで、英国のバレエ団として初の『海賊』全幕上演となった。
 この改訂版『海賊』初演では、英国ロイヤル・バレエ団から電撃移籍したアリーナ・コジョカルが主演。以降コジョカルは、かつての同僚ロホとともにENBの双璧をなす看板バレリーナとなるが、この2人以外にも、ここ数年のENBのダンサーの層の厚さには目を見張るべきものがある。長年ENBのリード・プリンシパルとして活躍する高橋絵里奈、ロホが高く評価する美しき若手プリンシパルのローレッタ・サマースケールズ、気鋭の新プリンシパル加瀬栞、そして2016年ヴァルナ国際バレエコンクールで銀賞に輝いた新人の金原里奈など、充実した女性ダンサーが揃う。男性ダンサーも魅力的な人材が集まっており、特に2015年にオランダ国立バレエ団からリード・プリンシパルとして移籍してきたイサック・エルナンデス、『海賊』ではコンラッド、アリの両役で鮮烈な印象を与えたプリンシパルのヨナ・アコスタ、2016年ENBイマージング・ダンサー・アワードを受賞し勢いのあるファースト・ソリストのセザール・コラレスといった南米出身のダンサーのほか、このところ次々と大役に 抜擢されているジュニア・ソリストの猿橋賢の活躍も目覚ましい。
 来日公演で上演するのは、ENBの看板作品であり、多くのキャストが登場する『コッペリア』と前述の『海賊』。2作品とも、こうしたENBの層の厚さを見せつけるには格好の作品であり、勢いのあるバレエ団の〈今〉を十分に感じられる公演になることは間違いない。

 
Photo:Laurent Liotardo

2017年日本公演
イングリッシュ・ナショナル・バレエ

『コッペリア』

【公演日】

2017年
7月8日(土)1:00p.m.
7月8日(土)6:00p.m.
7月9日(日)2:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

  • スワニルダ
  • :アリーナ・コジョカル(7/8昼)
    :タマラ・ロホ(7/8夜)
    :高橋絵里奈(7/9)
  • フランツ
  • :セザール・コラレス(7/8昼)
    :イサック・エルナンデス(7/8夜)
    :ヨナ・アコスタ(7/9)

『海賊』

【公演日】

2017年
7月14日(金)6:30p.m.
7月15日(土)2:00p.m.
7月16日(日)2:00p.m.
7月17日(月・祝)2:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

  • メドーラ:
  • :タマラ・ロホ(7/14,16)
    :ローレッタ・サマースケールズ(7/15)
    :アリーナ・コジョカル(7/17)
  • コンラッド:
  • :イサック・エルナンデス(7/14,16)
    :ブルックリン・マック(7/15)
    :オシエル・グネオ(7/17)
  • アリ:
  • :セザール・コラレス(7/14,16,17)
    :オシエル・グネオ(7/15)
  • ギュルナーラ:
  • :ローレッタ・サマースケールズ(7/14,17)
    :金原里奈(7/15)
    :カーチャ・カニューコワ(7/16)

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【入場料[税込]】

S=¥20,000 A=¥18,000 B=¥16,000 C=¥13,000 D=¥10,000 E=¥7,000
エコノミー券=¥5,000 学生券=¥3,000

*エコノミー券はイープラスのみで、学生券はNBS WEBチケットのみで6月2日(金)より受付。
★ペア割引(S,A,B席)あり ★親子ペア券(S,A,B席)あり
*表記のキャストは2016年12月19日現在の予定です。カンパニーの都合、出演者の怪我や病気などにより変更になる場合があります。

【その他の公演】

7月20日(木) 「コッペリア」 名古屋・愛知県芸術劇場大ホール[TEL.052-241-8118]