2017年日本公演 パリ・オペラ座バレエ団 現地取材●オレリー・デュポン インタビュー Part2〜パリ・オペラ座バレエ団芸術監督として〜

芸術監督オレリーの執務室は、ガルニエ宮の上階にある。
リールの鉄飾りのある丸窓から光が差し込むこざっぱりとしたオフィスだ。
昨年5月の「マノン」で引退公演を行い、楽屋を引き払った彼女。
まさかこれほど早くパリ・オペラ座に戻ってくることになるとは…‥。
監督としての仕事について、来年3月の来日ツアーについて話してもらおう。

Q パリ・オペラ座バレエ団についてどのようビジョンを持ち、今後それに向けてどのようにディレクションしていくつもりでしょうか。
 「パリ・オペラ座はクラシック・バレエの学校を持つ、クラシック・バレエのカンパニーです。従って私のプログラムにはクラシック作品を少し増やします。コンテンポラリー作品に対してもオープンであり続けます。観客にとても高いレヴェルのクラシック・バレエ、そして、とても先端的なコンテンポラリーをみせたいと思っています。 前シーズンはエトワールよりコール・ド・バレエの方が多く配役されていたけれど、私はエトワールたちを配役します。若いダンサーが配役されるのは悪いことではないですが、きちんとたくさんの仕事をした結果エトワールに到れたダンサーたちが舞台で踊る機会が得られなければ苦しみますよね。私はこのカンパニーが好きです。ここのダンサーたちが好きです。優しさをもって彼らの面倒をみたい、と思っています。芸術監督の権力を、人に対して行使するつもりはありません。ダンサーにとって良いと信じることをオペラ座にもたらすために、権力を発揮してゆきます」

Q パリ・オペラ座のエトワールが持つべき資質は何でしょうか。
 「エトワールとは、何でも踊れなければなりません。クラシックも上手く、コンテンポラリーも上手く。つまり完璧なアーティストです。彼らの多くはクラシックに長けていても、コンテンポラリーは尻込みします。それは試さずに怖がっているから。できないと思い込んでいるからです。両方が出来るというのは知的な豊かさの証明。あらゆるフォームのダンスを踊りたいという欲求を持つのは、大切なことです。そして15年たっても、任命された時と同じように優れたダンサーであること。だから任命する私はヴィジョネアである必要がありますね」

   

Q 来日ツアーの演目『ラ・シルフィード』はダンサーとしてのあなたの代表作の一つといえると思います。あなた自身が踊ったときのことを教えてください。
 「エトワールに任命されたてのとても若いとき、この作品を復元したピエール・ラコットが、私が踊ることを切望したんです。たった3週間の準備期間しかありませんでした。その間、彼が私に繰り返し言ったのは“体の前傾”です。19世紀に創られたこのロマンティック・バレエから彼が守ったのがこのことと、そして衣裳ゆえの腕を上げないスタイルでした。でも、この作品は今でもとてもモダーンといえます。ロマンティック・バレエにしては珍しく、ヒロインは冗談が好きで、ユーモアがあって子供のようで…‥いたずらっ子ですね。私もこのようにありたいと努めて踊っていました。ラコットの振付はとても音楽的。今でも音楽を聴けばすべての振付を思い出せますよ」

Q この作品を踊るダンサーには何が必要ですか。また、日本で出演予定のダンサーについて、その魅力をご紹介ください。
「素晴らしいクラシック・ダンサーであることが大事です。またジェイムズ役の衣裳はなかなか難しいものなので、自然なアリュール(所作)も要求されます。技術的にはプティット・バッテリィに長けたフランス派のダンサーです。東京で踊る3組はミリアムとマチアス、アマンディーヌとマチュー、リュドミラとジョシュア。それぞれ個性が異なりますが、3組ともとても美しいですね。組み合わせが良いと、それだけで舞台はすでに半分成功したも同然といえます」

Q 〈グラン・ガラ〉のバンジャマン・ミルピエ振付「ダフニスとクロエ」は、あなた自身も日本で踊ってくれます。どのような作品か、その魅力について語ってください。
「フレッシュで、ピュアな二人の若者の物語です。私にとってこの作品を踊る喜びはラヴェルの音楽、そしてパートナーのエルヴェ・モロー!  私とエルヴェに創作された作品で、私たちダンサーにも自由がありました。バンジャマンの振付はオーガニックで身体的にとても快適なんですよ。コール・ド・バレエとソリストが一丸となって、とても良い雰囲気が舞台上に流れていたことが今も記憶に残っています」

2017年日本公演
パリ・オペラ座バレエ団

「ラ・シルフィード」

【公演日】

2017年
3月2日(木)6:30p.m.
3月3日(金)6:30p.m.
3月4日(土)1:30p.m.
3月4日(土)6:30p.m.
3月5日(日)3:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

  • シルフィード
  • :ミリアム・ウルド=ブラーム(3/2, 3/4夜)
    :アマンディーヌ・アルビッソン(3/3, 3/5)
    :リュドミラ・パリエロ(3/4昼)
  • ジェイムズ
  • :マチアス・エイマン(3/2, 3/4夜)
    :マチュー・ガニオ(3/3, 3/5)
    :ジョシュア・オファルト(3/4昼)

〈グラン・ガラ〉

【公演日】

2017年
3月9日(木)6:30p.m.
3月10日(金)6:30p.m.
3月11日(土)1:30p.m.
3月11日(土)6:30p.m.
3月12日(日)3:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

  • 「テーマとヴァリエーション」
  • ローラ・エッケ、マチュー・ガニオ(3/9, 3/11夜)
    ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン(3/10, 3/12)
    ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト(3/11昼)
  • 「ダフニスとクロエ」
  • ダフニス:
    エルヴェ・モロー(3/9, 3/11昼、夜)
    ジェルマン・ルーヴェ(3/10, 3/12)
    クロエ:
    オレリー・デュポン(3/9, 3/11昼、夜)
    アマンディーヌ・アルビッソン(3/10, 3/12)
  • 「アザー・ダンス」
  • リュドミラ・パリエロ、マチアス・エイマン(3/9, 3/11昼、夜)
    ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト(3/10, 3/12)

【入場料[税込]】

S=¥27,000 A=¥24,000 B=¥21,000 C=¥17,000 D=¥13,000 E=¥9,000
エコノミー券=¥4,000 学生券=¥4,000

★ペア割引(S,A,B席) ★親子ペア券(S,A,B席)
*エコノミー券はイープラスのみで、学生券はNBS WEBチケットのみで、2017年2月3日(金)より発売。
*表記の出演者は2016年9月23日現在の予定です。オペラ座バレエ団の都合、出演者の怪我等の理由により変更になる場合があります。