パリ・オペラ座バレエ団 2017年日本公演 オレリー・デュポン率いる“バレエの殿堂”の新時代

新生オペラ座バレエ団の見逃せない輝き!

 フランスの至宝パリ・オペラ座バレエ団が来年3月、ロマンティック・バレエの名作『ラ・シルフィード』全2幕と珠玉の現代バレエを集めた〈グラン・ガラ〉の2つのプログラムを携えて待望の来日を果たす。
 今回は3年ぶりの日本公演になるが、すでにご存知の方が多いように、この間オペラ座バレエでは衝撃的なトップ交替劇があった。去る2月、今シーズンのプログラム発表の直前、バンジャマン・ミルピエ芸術監督が突如辞任、後任に人気エトワールとして一世を風靡したオレリー・デュポンが任命されたのだ。デュポンは、前回2014年の来日では、ノイマイヤー振付の『椿姫』をあでやかに踊って、日本でエトワールとしての有終の美を飾ったのが記憶に新しい。翌2015年5月、ガルニエ宮で『マノン』をロベルト・ボッレと共演したのが、公式のアデュー公演となった。この模様は、映画館で同時中継され、バレエの枠を超えたビッグ・イベントとして語り継がれている。
 今回は、そのデュポンが芸術監督としてバレエ団を率いてくる。世代交代も進み、若手の台頭が著しいだけに、新体制での来日公演は見逃せないものとなるだろう。演目の主要な部分はミルピエ時代に発表されていた通りだが、デュポンの名演と結びついた演目が多いので、芸術監督としての手腕が発揮されることを大いに期待したい。
 『ラ・シルフィード』(音楽シュナイツホーファー)は、人間と妖精の結ばれぬ恋を描いたバレエ。1832年パリ・オペラ座で、フィリッポ・タリオーニ振付、娘のマリーの主演で初演された。19世紀半ば以来上演が途絶えていたが、パリ・オペラ座出身の振付家ピエール・ラコットが復元し、1972年にオペラ座のレパートリーに入って以来、バレエ団の十八番のバレエとして繰り返し上演されてきた。復元とはいえ、現代のテクニックをふんだんに散りばめた踊りの数々は華やかで非常に見応えがある。
 今回は日本で初めて本家オペラ座バレエ団がこの作品を踊るのが注目される。主役は、シルフィードがミリアム・ウルド=ブラーム、アマンディーヌ・アルビッソン、リュドミラ・パリエロ、ジェイムズがマチアス・エイマン、マチュー・ガニオ、ジョシュア・オファルトと全員がエトワール。この魅力の3カップルの競演に加え、第2幕の妖精の世界では、オペラ座の誇る優雅な群舞を存分に楽しむことができる。
 一方〈グラン・ガラ〉は、バランシン振付『テーマとヴァリエーション』とロビンズ振付『アザー・ダンス』、前芸術監督ミルピエ振付『ダフニスとクロエ』の3作品を組み合わせたトリプル・ビル。バランシンが創設したNYCB(ニューヨーク・シティ・バレエ)ゆかりの三人の振付家の作品は、それぞれチャイコフスキー、ショパン、ラヴェルの名曲に振付けられたもので、特に物語はないが、純粋な動きの美をじっくりと堪能することができるだろう。
 まず注目は『ダフニスとクロエ』。2014年5月の初演を飾ったエルヴェ・モローとオレリー・デュポンの極め付けのカップルが登場するのがうれしい。ダニエル・ビュレンの幾何学的なデザインの装置と色鮮やかな衣裳とのコンビネーションも見逃せない。
 精緻なアンサンブルに定評あるバランシンの『テーマとヴァリエーション』では、2015年にエトワールに昇格したローラ・エッケやテクニシャンのドロテ・ジルベールらがソリストとして美を競う。ロビンズの珠玉のパ・ド・ドゥ『アザー・ダンス』では、ジルベールとオファルト、パリエロとエイマンの二組の活躍が期待される。「一人一人がソリスト」と言われるバレエ団だけに、アンサンブルにもご注目。新生オペラ座バレエの魅力を二つのプログラムで心ゆくまで味わいたい。

2017年日本公演
パリ・オペラ座バレエ団

「ラ・シルフィード」

【公演日】

2017年
3月2日(木)6:30p.m.
3月3日(金)6:30p.m.
3月4日(土)1:30p.m.
3月4日(土)6:30p.m.
3月5日(日)3:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

  • シルフィード
  • :ミリアム・ウルド=ブラーム(3/2, 3/4夜)
    :アマンディーヌ・アルビッソン(3/3, 3/5)
    :リュドミラ・パリエロ(3/4昼)
  • ジェイムズ
  • :マチアス・エイマン(3/2, 3/4夜)
    :マチュー・ガニオ(3/3, 3/5)
    :ジョシュア・オファルト(3/4昼)

〈グラン・ガラ〉

【公演日】

2017年
3月9日(木)6:30p.m.
3月10日(金)6:30p.m.
3月11日(土)1:30p.m.
3月11日(土)6:30p.m.
3月12日(日)3:00p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

  • 「テーマとヴァリエーション」
  • ローラ・エッケ、マチュー・ガニオ(3/9, 3/11夜)
    ミリアム・ウルド=ブラーム、マチアス・エイマン(3/10, 3/12)
    ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト(3/11昼)
  • 「ダフニスとクロエ」
  • ダフニス:
    エルヴェ・モロー(3/9, 3/11昼、夜)
    ジェルマン・ルーヴェ(3/10, 3/12)
    クロエ:
    オレリー・デュポン(3/9, 3/11昼、夜)
    アマンディーヌ・アルビッソン(3/10, 3/12)
  • 「アザー・ダンス」
  • リュドミラ・パリエロ、マチアス・エイマン(3/9, 3/11昼、夜)
    ドロテ・ジルベール、ジョシュア・オファルト(3/10, 3/12)

【入場料[税込]】

S=¥27,000 A=¥24,000 B=¥21,000 C=¥17,000 D=¥13,000 E=¥9,000
エコノミー券=¥4,000 学生券=¥4,000

★ペア割引(S,A,B席) ★親子ペア券(S,A,B席)
*エコノミー券はイープラスのみで、学生券はNBS WEBチケットのみで、2017年2月3日(金)より発売。
*表記の出演者は2016年9月23日現在の予定です。オペラ座バレエ団の都合、出演者の怪我等の理由により変更になる場合があります。