東京バレエ団の「くるみ割り人形」 一斉前売開始 9⁄17(土)10:00a.m.より ダニール・シムキン インタビュー 古典作品には第一に正確な演技と踊りが必要です。歴史上のダンサーと自分を見つめることも

この夏の〈バレエの王子さま〉公演で、得意の超絶技巧とチャーミングな魅力で会場を興奮に沸き返らせたダニール・シムキンが、12月、東京バレエ団の「くるみ割り人形」公演で再び来日! 夏の舞台、年末の「くるみ割り人形」や近況について聞きました。

── 〈バレエの王子さま〉で披露したノヴィツキー振付の「同じ大きさ?」は、あなたの魅力がとても生かされた舞台でした。振付もあなたとサラファーノフ、カマルゴのためにバージョン・アップされ見応えがありましたね。

シムキン: ええ、古典とはまた違った側面をお見せできて僕自身も楽しかったです。素晴らしいダンサーたちと共に舞台に立てたのもとてもうれしかった。この作品はそれ自体にも競争のようなところがあっておもしろかったです。バレエの世界にはいつでも良い意味での競争があります。なぜなら僕たちは常により良い踊りを目指していますから、自然と他のダンサーたちを観察して自分と比較するようになるんです。この作品はユーモラスでありながらも、舞台上の真実の一端を表していると思います。

── やはり東京で初めて踊られた「エチュード」でも圧巻の踊りを見せてくださいました。デンマークではすでに踊ったことがあるのですね。

シムキン: 僕は本当にラッキーだったと思います。本家であるデンマークでこの作品を踊り継いで来た方々から直接指導を受けることが出来たんです。「エチュード」はリスキーな作品です。全身白い衣裳ですからすべてが見えてしまいます。自分が若いころに経験したコンクールの状況が思い出されましたよ。コンクールでは舞台に走り込んですぐの瞬間から自分の最高の踊りを見せなければなりません。「ロミオとジュリエット」や「白鳥の湖」などでは踊るまでに役を演じたり舞台の雰囲気に慣れるプロセスがあります。これはまた別の課題ということでもありますが、「エチュード」にはその間がないのが難しさのひとつです。

── 今年暮れには東京バレエ団の「くるみ割り人形」に4年ぶりに客演されます。

シムキン: 実際のところ僕はこれまでにワイノーネン版、ラトマンスキー版を含む4つの演出の「くるみ割り人形」を経験してきました。様々な演出を踊れば踊るだけ作品のことをより深く理解できます。東京バレエ団でまた踊ることが出来るのはとてもうれしいです。

──2012年のインタビューで「素晴らしい作品だけど簡単ではありません」とおっしゃっていました。どのあたりに難しさを感じますか?

シムキン: 古典作品全般について言えることですが、第一に正確な演技と踊りが求められることですね。個人の自由に任されている部分は非常に少ないです。それから古典作品を踊っている時はどうしても過去のダンサーたちとの比較が重圧になります。それまで誰も踊ったことのない新しい作品であればそのような重圧はありませんが、誰もが作品を知っているわけです。どうしても歴史上のダンサーたちと自分を比較することになります。

── 東京バレエ団とは「ドン・キホーテ」や「くるみ割り人形」、今回の「エチュード」などで共演されています。どんな印象をお持ちですか。

シムキン: 全員がたいへんよく稽古をして強い責任感を持っていると思います。誠心誠意仕事に向き合っています。すでに僕は全員とあいさつも交わす間柄ですし、慣れた場所に帰ってくるような感覚です。とても落ち着きます。

── 昨シーズンに踊られた中でもっとも印象に残っている作品は何ですか。

シムキン: この6月にアメリカン・バレエ・シアターでマクミラン版「ロミオとジュリエット」のベンヴォーリオ、マキューシオ、ロミオを踊りました。私の舞踊キャリアにおいて大きな前進の一歩だったと思います。とてもたいへんな作品で、このために6ヵ月にわたって特別に筋肉トレーニングをしました。リフトやジャンプがたくさんあって、しかも長い作品ですからね。僕はいつも余力を残して踊るようにしているのですが、その余力をつけるためにはバレエ団の稽古だけでは足りなかったので筋トレをしてスタミナをつけました。

── シムキンさんといえばインターネットのソーシャル・メディアを使いこなしていることでも有名ですね。そこで公開されていた、忍者かと思うような筋トレの映像の謎が今解けました。

シムキン: ソーシャル・メディアもそうですが、僕はライカで写真も撮ります。僕にとってそれらは日記のようなものでもあり、また人々に「贈る」行為でもあります。自分が何か美しいものを見つけた時、それを他の人達も見て満足を得る、そのことが僕はうれしいんです。その意味ではぼくの踊りと同じです。僕は自分のことをたいへん恵まれた、幸せな人間だと思っています。ですからこれは僕なりの「お返し」の方法です。

東京バレエ団
「くるみ割り人形」

【公演日】

2016年
12月16日(金)7:00p.m.
12月17日(土)2:00p.m.
12月18日(日)2:00p.m.

会場:東京文化会館

指揮:井田勝大
演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

【予定される主な配役】

クララ:沖香菜子(12/16, 12/18)、川島麻実子(12/17)
くるみ割り王子:ダニール・シムキン(12/16, 12/18) 秋元康臣(12/17)

【入場料[税込]】

12/16(金)、12/18(日)
S=¥12,000 A=¥10,000 B=¥8,000 C=¥6,000 D=¥4,000 E=¥3,000
12/17(土)
S=¥10,000 A=¥8,000 B=¥6,000 C=¥5,000 D=¥4,000 E=¥3,000

*12/17公演は5歳のお子さまからご入場いただけます。
*エコノミー券はイープラスのみで、学生券はNBS WEBチケットのみで、 11月18日(金)より発売。
★ペア割引あり[S,A,B 席]  ★親子ペア割引あり[S,A,B 席]

他都市公演

12/23(金・祝)
柏崎市民会館アルフォーレ TEL:0257-21-0010
12/25(日)
倉吉未来中心(鳥取県) TEL:03-3791-8888(NBS)
12/27(火)
三次市文化ホール(広島県) TEL:03-3791-8888(NBS)