シカゴ交響楽団 マエストロ リッカルド・ムーティの近況をお届けします

 2016年年明けには、シカゴ交響楽団を率いて来日するリッカルド・ムーティ。名門オケと音楽監督ムーティとのコンビネーションを心待ちにしているファンも多いことでしょう。9月にシカゴ響のシーズン開幕を終え、10月はヨーロッパでのコンサートと、忙しい日々を送っているリッカルド・ムーティ。マエストロとは旧知の仲であり、著書の翻訳も手がけた田口道子さんが、マエストロのラヴェンナのお宅にてうかがったマエストロの近況を届けてくれました。
 10日前にシカゴから戻り、すぐにピアチェンツァの稽古場でモデナで開かれた〈パヴァロッティ生誕80年記念コンサート〉のリハーサル、10月12日に本番を終えたばかりのマエストロ。14日にはミラノで、10月21日から8週連続でRAI5(イタリアの放送局)で放送される「レクチャー」のための記者会見。そして来週はシカゴ響のアメリカツアーのためにまた渡米するとのこと。「全く休みが取れなくて疲れ果てている」とおっしゃる割には元気な様子。アメリカツアーの後、11月はケルビーニ管とスペインへ。バルセロナとマドリードで公演し、その後またシカゴへ。
 2010年にシカゴ響の音楽監督に就任してから早くも5年が経ち、昨年からは第二期に入った。「シカゴ響とはとても素晴らしい関係を築いている。私たちはお互いに尊敬しあっているから。オーケストラがうんざりするくらい解説する指揮者もいるけれど、私は一緒に音楽を作り上げることが重要で、講釈はいらないと思っている」と語る。  「指揮台で飛び跳ねる指揮者、体を動かして、まるで神と話しをしているかのように天井を向いて口を動かしながら弾くピアニスト、最近の演奏者は観客の目を楽しませようとしているように見える。観客も見ることに気を取られて聴くことがおろそかになっている。私が日本の観客を高く評価するのは、精神を集中させてよく聴いてくれることが感じられるから」
 2016年1月にはシカゴ響のアジアツアーのため東京で演奏できることを楽しみにしている。「シカゴで二年ごとに行われているゲオルク・ショルティ・コンクールの今年の優勝者は日本とドイツのハーフの女性に決まったよ。今年ラヴェンナでオープンしたイタリアン・オペラ・アカデミーでも多くの参加者から選ばれた3人のうちで最も優秀だった」とのこと。彼女は2016年2月から2年間シカゴでマエストロのアシスタントをしながら勉強することになる。
 「私はトスカニーニの薫陶を受けたアントニーノ・ヴォットから多くのことを学んだ。トスカニーニはヴェルディの指揮でチェロを弾いていた時にヴェルディから学んだのだから、私は間接的にはヴェルディの孫弟子になる。これほど素晴らしい環境で勉強できて身に付けてきたものを次の世代に残したい」との強い思いからケルビーニ・ユース・オーケストラが生まれ、イタリアン・オペラ・アカデミーの開催へと繋がってきた。74歳。世界を駆けまわるマエストロは巨匠の域に入っても若々しいエネルギーに溢れている。「もうすぐもう一人の孫が生まれるんだ」と嬉しそうにおっしゃる顔は指揮台の上でのあの厳しい表情からは想像もつかないほど優しかった。


2016年日本公演
リッカルド・ムーティ指揮
シカゴ交響楽団


【予定されるプログラム】

2016年
1月18日(月)7:00p.m.

ベートーヴェン:交響曲 第5番 ハ短調 op.67「運命」
マーラー:交響曲 第1番 ニ長調「巨人」

2016年
1月19日(火) 7:00p.m.

プロコフィエフ:交響曲第1番ニ長調 Op.25「古典交響曲」
ヒンデミット:弦楽と金管のための協奏音楽 Op.50
チャイコフスキー:交響曲第4番ヘ短調 Op.36

指揮:リッカルド・ムーティ
会場:東京文化会館

【入場料[税込]】

S=¥39,000 A=¥35,000 B=¥28,000 C=¥22,000 D=¥16,000 E=¥14,000
エコノミー券=¥7,000 学生券=¥5,000

*エコノミー券はイープラスのみで、学生券はNBS WEBチケットのみで12月4日(金)より受付。