世界バレエフェスティバルの歴史 vol.1

1988年第5回全幕特別プロ フィナーレのカーテンコール風景


 2000年代に突入した世界バレエフェスティバル。新たなスターを迎えながら、よりグローバル化していく世界のバレエ事情を反映して新たな伝統を築いていきます。
 20世紀最後の回となった第9回では、マニュエル・ルグリ、ウラジーミル・マラーホフら常連スターに加え、バルボラ・コホウトコヴァ、イリ&オットーのブベニチェク兄弟などが初参加。2003年の第10回では、アリーナ・コジョカル、タマラ・ロホ、ディアナ・ヴィシニョーワ、アンヘル・コレーラといった旬のダンサーたちが初登場。また、シュツットガルト・バレエ団からアリシア・アマトリアン、フリーデマン・フォーゲル、フィリップ・バランキエヴィッチが出演。そして、ついに開催30周年を迎えた2006年の第11回には、史上最多、世界24カ国からダンサーが集結し、ルグリ、ジル・ロマンがエヴァ・エフドキモワに並ぶ最多記録7回出場を達成しています。2009年の第12回では、ナターリヤ・オシポワ、マチュー・ガニオ、ダニール・シムキン、レオニード・サラファーノフらが登場、21世紀のバレエ界を牽引するスターたちが顔を揃えました。
 また、第9回Bプロでは、アレッサンドラ・フェリとマラーホフが「マノン」の第1幕のパ・ド・ドゥを、シルヴィ・ギエムとニコラ・ル・リッシュが同作の第3幕のパ・ド・ドゥを踊り、客席を感動の渦に巻き込んだことも大きな話題に。2012年にはAプロでポリーナ・セミオノワとフォーゲルが「オネーギン」第1幕のパ・ド・ドゥを、Bプロではマリア・アイシュヴァルトとルグリがその第3幕のパ・ド・ドゥを踊ったことも注目されました。近年の世界バレエフェスティバルでは、こうした20世紀のドラマティック・バレエの傑作への注目がとくに高まり、同一作の異なる場面が同じプログラムで上演されることもしばしば。「マノン」「オネーギン」「椿姫」などの名場面のスター競演が、フェスティバルの新たな伝統になりつつあります。
「オネーギン」もその一つですが、これはフェスティバル初期のマリシア・ハイデ、リチャード・クラガンらの名演が次世代ダンサーたちに感動を与え、こうした作品への取り組みを促し、そのパフォーマンスがより若い世代のダンサーたちを刺激した結果とみることもできます。
 また、第12回では2007年に逝去したモーリス・ベジャールをしのぶ特別プロ〈オマージュ・ア・ベジャール〉も上演し、その巨匠の偉業をたたえました。
 そして2012年の第13回。ヴィシニョーワ、スヴェトラーナ・ザハロワ、ナターリヤ・オシポワに、ウリヤーナ・ロパートキナ、オレシア・ノヴィコワ、エフゲーニャ・オブラスツォーワなど、ロシアの名花の競演が実現。ドゥアト、プレルジョカージュ、ゲッケら、世界の一流カンパニーが擁する現代振付家の傑作も、幅広く上演されました。
 いよいよ開幕目前となった第14回世界バレエフェスティバル。世界各地から集結した一流ダンサーたちが生む奇跡の瞬間を共有しながら、そこから生まれる新たな伝統に、注視したいものです。


第14回 世界バレエフェスティバル



【公演日】

会場:東京文化会館

<Aプロ>
2015年
8月1日 (土)2:00p.m.
8月2日 (日)2:00p.m.
8月4日 (火)6:00p.m.
8月5日 (水)6:00p.m.
8月6日 (木)6:00p.m.

<Bプロ>
2015年
8月 8日(土)2:00p.m.
8月 9日(日)2:00p.m.
8月11日(火)6:00p.m.
8月12日(水)6:00p.m.
8月13日(木)6:00p.m.

■指揮:ワレリー・オブジャニコフ他
■演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

【入場料(税込)】

S=¥26,000 A=¥23,000 B=¥20,000
C=¥16,000 D=¥12,000 E=¥8,000
学生券=¥4,000

*学生券はNBS WEBチケットのみで7月3日(金)より発売。
*プログラムについては、公演ちらしをご覧ください。