英国ロイヤル・オペラ 2015年日本公演 『ドン・ジョヴァンニ』 “色男”への愛と憎しみを抱く美しきエルヴィーラ ジョイス・ディドナート “ドン・ジョヴァンニの化身”の呼び声高いダルカンジェロ! イルデブランド・ダルカンジェロ

 イタリアのバス・バリトン、イルデブランド・ダルカンジェロは、10年以上にわたって、モーツァルトをはじめ、ロッシーニやドニゼッティ、ベッリーニといったベルカント(オペラ)の諸役で、世界のトップ・シンガーとして第一線で活躍している。なかでもモーツァルトのドン・ジョヴァンニ役は、傑出したレパートリーの一つ。

―― 日本公演でも演じるドン・ジョヴァンニ役を最初に歌ったのは?

ダルカンジェロ 最初にドン・ジョヴァンニを歌ったのは1998年のボローニャでした。2回だけね。でも、私が演じることを前提に作られたという意味での、本当のデビューは2002年のナポリ。これまでにドン・ジョヴァンニ役を何回歌ってきたか、正確には数えていないけど、多分100回以上は歌っていると思います。実際には、ドン・ジョヴァンニよりレポレロの方が歌った回数は多いと思いますが…‥。そうして、今、ドン・ジョヴァンニを歌う時が来た!

―― ドン・ジョヴァンニのキャラクターについて、彼はある意味凄い。良心の呵責のない誘惑者として2500人以上もの女性と寝てきた。凄い数です。

ダルカンジェロ 誰もが、ドン・ジョヴァンニと彼をとりまくミステリーについてのアイディアをめぐらせます。私は去年の夏にザルツブルク音楽祭でこの役を歌った時、演出家のズヴェン=エリック・ベヒトルフと話しました。彼は“考えちゃダメだ! なぜなら、ドン・ジョヴァンニは刹那に生きているんだから”と言いました。私もこれこそが真実なんだと思います。彼は何が起こったかとか、何かを計画するとか、一切の未来も過去も考えたりしないのです。その瞬間瞬間が、まるで彼の生涯の最期の瞬間であるように。

―― 声楽的な観点からの、この役を歌ううえでの難しさとはどんなところでしょう?

ダルカンジェロ 声そのものに官能性をもたせなければならないことです。ドン・ジョヴァンニには、技術的に難しいアリアというのは与えられていないのです。だから、普通なら声の表情が重要になるのはレチタティーヴォの部分が主に担いますが、ドン・ジョヴァンニの場合はオペラ全体において、どのように声で表現するか、ということがより重要になるのです。

―― このオペラでは、ドン・ジョヴァンニと従者レポレロの関係も重要です。あなたは、両方の役をレパートリーとしていますね。

ダルカンジェロ そう、二人の関係はとても重要です。私がレポレロを演じたなかには、ドン・ジョヴァンニが決してレポレロを見ない、二人の間になにもつながりのないものも数多くありました。それではうまくいかない。ジョヴァンニには兄弟のような関係のレポレロが必要なのです。日本公演では、アレックス・エスポージトのレポレロと共演します。我々はすでにベルリンでも新演出の『ドン・ジョヴァンニ』で共演していて、二人の関係をどのようにすべきか、しっかりとつかんでいます。

photo:Salzburger Festspiele / Michael Poehn

2014年ザルツブルク音楽祭『ドン・ジョヴァンニ』で
タイトル・ロールを演じるダルカンジェロ。

―― あなたはすでに英国ロイヤル・オペラ音楽監督のアントニオ・パッパーノとも共演を重ねています。ローマではレポレロを演じましたよね。

ダルカンジェロ 大成功でした。今回、彼の指揮でジョヴァンニを歌えるのは、とても幸せなことです。彼はすべての言葉を理解していて、私が声で表す必要がある色について、すべてを説明してくれるのです。

―― すでに何度も日本を訪れたことがあるということですが、日本の印象は?

ダルカンジェロ 私は日本の几帳面さが好きです。あとは食べ物も、特に寿司が好き。日本の皆さんはとても親切で、あたたかく迎えてくれます。日本の聴衆は熱狂的です。終演後には何百というサインを求められるんですから! 日本の皆さんが我々の舞台をとても愛してくださるのを見ることは、とてもうれしいことでもあります。


2015年日本公演
英国ロイヤル・オペラ
ヴェルディ作曲『マクベス』


指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:フィリダ・ロイド

【公演日】

2015年
9月12日(土)3:00p.m
9月15日(火)3:00p.m
9月18日(金)6:30p.m.
9月21日(月・祝)1:30p.m.

会場:東京文化会館

【予定される主な配役】

マクベス : サイモン・キーンリサイド
マクベス夫人 : リュドミラ・モナスティルスカ
バンクォー : ライモンド・アチェト
マクダフ : テオドール・イリンカイ

【入場料[税込]】

S=¥55,000 A=¥48,000 B=¥41,000 C=¥33,000  D=¥26,000 
エコノミー券=¥10,000 学生券=¥8,000

*エコノミー席はイープラスのみで、学生席はNBS WEBチケットのみで8月7日(金)より受付。

2015年日本公演
英国ロイヤル・オペラ
モーツァルト作曲『ドン・ジョヴァンニ』


指揮:アントニオ・パッパーノ
演出:カスパー・ホルテン

【公演日】

2015年
9月13日(日)3:00p.m
9月17日(木)6:30p.m.
9月20日(日)1:30p.m.

会場:NHKホール

【予定される主な配役】

ドン・ジョヴァンニ : イルデブランド・ダルカンジェロ
レポレロ : アレックス・エスポージト
ドン・オッターヴィオ : ローランド・ヴィラゾン
ドンナ・エルヴィーラ : ジョイス・ディドナート
ドンナ・アンナ : アルビナ・シャギムラトヴァ
ツェルリーナ : ユリア・レージネヴァ
マゼット : マシュー・ローズ
騎士長 : ライモンド・アチェト

【入場料[税込]】

S=¥55,000 A=¥48,000 B=¥41,000 C=¥33,000  D=¥26,000 
エコノミー券=¥10,000 学生券=¥8,000

*エコノミー席はイープラスのみで、学生席はNBS WEBチケットのみで8月7日(金)より受付。