世界バレエフェスティバルの歴史 vol.1

1988年第5回全幕特別プロ フィナーレのカーテンコール風景


 1980年代に突入し、世界バレエフェスティバルの舞台はより多彩、より華やかな様相を示し、3年に一度の祝祭的な催しとして内外に広く認知されていきます。
 その契機ともなった第3回の開催は、1982年。同年初頭、前年に欧州で大ヒットを記録した映画『愛と哀しみのボレロ』が日本で公開、劇中で踊った「ボレロ」でその存在が広く知られるようになったジョルジュ・ドンの出演が注目され、ファンが劇場に詰めかけたのです。ここで初めて実現したドンと東京バレエ団によるベジャールの「ボレロ」に、多くの観客が熱狂、この日本のバレエ上演史に残る一大事をきっかけに、それまでバレエに触れる機会のなかった新たな観客が劇場に足を運ぶようになり、日本におけるバレエ人気の高まりにつながったのです。
 続く1985年の第4回では、1980年末、パリ・オペラ座バレエ団で当時の史上最年少エトワールに任命されて以来、絶大な人気を得ていたパトリック・デュポンが初登場、モニク・ルディエールとの「ドン・キホーテ」でセンセーションを巻き起こしました。また、マルセイユ・バレエ団からプティのミューズ、ドミニク・カルフーニとデニス・ガニオのカップルが登場、「失われた時を求めて」「カルメン」で客席を魅了、アレッサンドラ・フェリも「ロミオとジュリエット」他マクミラン作品で初登場を果たします。前回に引き続いての登場となったシュツットガルト・バレエ団のマリシア・ハイデとリチャード・クラガンが「オネーギン」を、ハンブルク・バレエのリン・チャールズ、イヴァン・リスカらがノイマイヤーの傑作「椿姫」を披露したことも話題に。
 さらに3年後、1988年の第5回では、年々高まるベジャール人気を背景に、20世紀バレエ団からミッシェル・ガスカール、ジル・ロマンらが参加し、いくつものベジャール作品を紹介。さらに、1985年にヌレエフとともに東京バレエ団「白鳥の湖」に主演、衝撃をもたらしたシルヴィ・ギエムが初登場、やはり初めての参加となったマニュエル・ルグリとともに踊った「グラン・パ・クラシック」のインパクトは、いまや伝説として語りつがれているほど。また、初回の後しばらく絶えていた全幕プロが復活。「白鳥の湖」の昼夜2公演でメインの配役を幕ごとに変え、ギエムやエフドキモワらが次々と登場する破格の華やかさが語りぐさとなっています。
 世界バレエフェスティバルは、こうした世界各地の一流ダンサーたちが集う豪華さと同時に、彼らが演じる多彩なレパートリー、とりわけ、20世紀を代表する数々の傑作が抜粋という形で次々と紹介され、日本のバレエ界にその素晴らしさ、多様性を紹介する重要な役割を果たしていたことも注目に値します。

「世界バレエフェスティバル」第1回〜第13回のカーテンコール映像 をNBSのホームページで公開中。


第14回 世界バレエフェスティバル



【公演日】

会場:東京文化会館

<Aプロ>
2015年
8月1日 (土)2:00p.m.
8月2日 (日)2:00p.m.
8月4日 (火)6:00p.m.
8月5日 (水)6:00p.m.
8月6日 (木)6:00p.m.

<Bプロ>
2015年
8月 8日(土)2:00p.m.
8月 9日(日)2:00p.m.
8月11日(火)6:00p.m.
8月12日(水)6:00p.m.
8月13日(木)6:00p.m.

■指揮:ワレリー・オブジャニコフ他
■演奏:東京フィルハーモニー交響楽団

【入場料(税込)】

S=¥26,000 A=¥23,000 B=¥20,000
C=¥16,000 D=¥12,000 E=¥8,000
学生券=¥4,000

*学生券はNBS WEBチケットのみで7月3日(金)より発売。
*プログラムについては、公演ちらしをご覧ください。