ローマ歌劇場2014年日本公演

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2013年12月 5日

ローマ歌劇場2014日本公演「シモン・ボッカネグラ」 フランチェスコ・メーリ インタビュー

現地よりお届けする出演者インタビュー第2弾は、「シモン・ボッカネグラ」で青年貴族ガブリエーレを歌い演じるフランチェスコ・メーリです!

「美しくて大変大規模な舞台と正統的な演出による『シモン・ボッカネグラ』を、イタリアの財産であるオペラ芸術やイタリア文化高く評価してくださる日本の皆さんにお届けします」

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――『シモン・ボッカネグラ』のガブリエーレ・アドルノ役はローマ歌劇場がデビューだったのですか?

メーリ:ガブリエーレ・アドルノは2010年にパルマで歌ってデビューしました。2012年にローマ歌劇場で歌う前にはウィーンでも歌っています。僕は歌手としてデビューした時はテノール・レッジェーロでベルカントがレパートリーだったので、ガブリエーレのようなリリックの役は最近歌い始めたばかりなのです。

――ガブリエーレの役作りにはどのように取り組まれたのでしょう?

メーリ:ガブリエーレは愛情豊かでロマンティックな青年ですが、正義の味方というか、権力に対抗して、間違っていることは指摘して正していこうとする性格です。そして、シモンを継いでジェノヴァの二番目の総督になります。ロマンティックな役というのは、声の音色もベルカントの要素が必要で、ドラマティックに力一杯に歌うという一般的なヴェルディの歌い方に対する考え方では正しく表現できないと思います。

――その点はマエストロ・ムーティとの共演が多いことが影響していますか?

メーリ:僕はロッシーニやベッリーニをレパートリーにしていたこともあって、ベルカント唱法を勉強してきました。マエストロと共演するようになって、僕の歌や声に対する考え方が間違っていなかったと再確認できたと思います。マエストロ・ムーティが「ヴェルディはたった一つの音でも雰囲気を創り出してしまう」とよくおっしゃいますが、本当に一つの音だけで、状況を変えてしまう。音楽に演出が書かれているということも実感することができます。マエストロ・ムーティと共演していない時でも、楽譜を尊重するという勉強の仕方が身に付いて、これは歌手にとって大きな助けになります。

――ローマ歌劇場の『シモン・ボッカネグラ』の魅力は何でしょうか?

メーリ:このプロダクションはダンテ・フェッレッティというオスカー賞を受賞した装置デザイナーの舞台で、美しくて大変大規模です。正統的な演出でもあるし、音楽を邪魔せずに浮き立たせてくれていると思います。衣裳も美しいし、きっと日本の皆さんにも気に入っていただけると思いますよ。

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――日本の聴衆の印象とメッセージをいただけますか。

メーリ:僕はペザロのロッシーニ・フェスティヴァルの日本公演とリサイタルで二回日本に行きましたが、日本には多くの熱心なオペラ・ファンがいてびっくりしました。日本に行くことが待ち遠しくてたまりません。イタリアの財産であるオペラ芸術やイタリア文化をイタリア人よりも高く評価して、大切にしてくださる日本の皆さんに満足していただける演奏ができますようにと願っています。

(インタビュー・文/田口道子 演出家、在ミラノ)

stage photo:Silvia Lelli/Teatro dell'Opera di Roma